2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和性を有する同種異形複合材料の創製とその機能
Project/Area Number |
17310047
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西野 孝 神戸大学, 工学部, 教授 (40180624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小寺 賢 神戸大学, 工学部, 助手 (80403301)
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Keywords | 環境調和 / 複合材料 / 同種異形 / 力学物性 / セルロース / セルロース誘導体 / 超臨界二酸化炭素 / ポリビニルアルコール |
Research Abstract |
充てん材とマトリックスが共に化学的に同種の素材から構成され,かつ環境調和性に優れる同種異形複合材料の創製を行うと共に,得られた複合材料の機能・性能について検討を行うことを本研究の目的とした。 環境調和性の観点から,素材としてまずセルロースを取り上げ,繊維表面の部分溶解を利用した全セルロース複合材料の創製に取り組んだ。その結果,得られた複合材料は従来型のガラス繊維強化複合材料を凌駕する力学物性を示すだけでなく,透明性も併せ持つことを見出した。この成果については国内外での学術会議で招待講演として報告した。また,作製プロセスを含めた環境調和性の観点から,超臨界二酸化炭素を媒体とするセルロースの混合エステル化を試みたところ,迅速かつ高収率で反応が進行し,繊維表面の混合エステル化に成功した。さらにこれを加熱圧縮することで繊維表面のセルロースエステルを融解,マトリックス化させ,一方,芯部のセルロース繊維をそのまま補強繊維として利用することで複合材料化を図り,有機溶媒や可塑剤を使わずにセルロース系材料の成形加工を行う手法を新たに考案することができた。 さらに,生分解性を有する高分子であるポリビニルアルコールを用いて,昨年度に引き続き全ポリビニルアルコール複合材料の創製と機能発現にも取り組んでいる。その結果,同複合材料が引張り強度として600MPa,弾性率17GPaの高い性能を示すことを見出している。今後,エレクトロスピニング繊維の利用などを通して環境調和性を有するナノ材料の創製へと発展させる予定である。 以上のように研究は順調に進捗しており,最終年度には各種条件の適正化を通して,材料のより一層の高機能化を図ると共に,積極的な学術発表,学術論文の執筆を行っていく予定である。
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