2005 Fiscal Year Annual Research Report
大サイズクラスターの赤外分光による凝集相生成過程の直接観測
Project/Area Number |
17310057
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤井 朱鳥 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50218963)
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Keywords | クラスター / 水素結合 / 赤外分光 / ヒドロニウムイオン / 質量分析 / クラスレート / 水 / アルコール |
Research Abstract |
平成17年度はプロトン付加した水-アルコール混合大サイズクラスターについて研究を進めた。その結果、少数個のアルコール分子が水素系結合ネットワーク形成において水と非常に良い互換性を持ち、プロトン付加した水クラスターと同じクラスターサイズで3次元籠状構造を完成させることを発見した。この籠状構造はクラスレート化合物の基本単位構造となっている。水のクラスレート形成は、マクロレベルではアルコールにより疎外されるので、ミクロレベルでの互換性はクラスレートの生成/疎外の機構を考える上で非常に興味深い結果である。 また逆に、プロトン付加メタノールクラスターに小数の水を混入させた場合、水の配位数における優位性のために、水素結合ネットワーク構造に大きな変化が起きることを見いだした。また、生成されるネットワーク構造は、これまでの質量分析法により推測されてきた包接型ではなく、より立体的な三環型であることを赤外スペクトル測定から立証した。 以上の研究と平行して、更なる研究の親展のために装置開発を精力的に行った。これまで3ミクロン帯(X-H伸縮振動)に適用が事実上限られていたクラスターの赤外分光を、より低波数の領域、特に指紋領域、にまで拡大するために新規赤外光源の開発に着手した。設備備品として購入したシーダー付きYAGレーザーにより、まず2ミクロン帯のOPO光源を製作した。来年度にはこの出力の差周波発生により、中赤外領域の赤外光を得る予定である。また、より大きなクラスターサイズへの展開を図るために、最大質量数2000まで測定可能な重連型四重極質量分析装置を製作し、その立ち上げ作業を終えた。平成18年度はこの質量分析器を利用して、未踏のサイズ領域へと研究を発展させていく予定である。
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Research Products
(6 results)