2006 Fiscal Year Annual Research Report
状態密度操作を行ったカーボンナノチューブにおけるスピン集団運動の制御
Project/Area Number |
17310060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白石 誠司 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (30397682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 義茂 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (50344437)
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Keywords | ナノチューブ / スピンエレクトロニクス / 物性実験 / メゾスコピック系 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は主に単層カーボンナノチューブ(SWNT)を用い、(1)注入キャリアを制御できるように状態密度を操作しつつその状態を安定に作り出すこと、(2)その状態で偏極スピンを単層カーボンナノチューブ中に注入しその集団運動を観測・制御することにある。 2年目の本年は強磁性体(F)/SWNT/強磁性体(F)という2端子構造による磁気抵抗(MR)効果の観測が、F/SWNT界面に発現する大きな接触抵抗によって困難であることを、Kelvin Probe Force Microscopy (KFM)法を用いたF/SWNT界面のバンド構造の研究から見出した。そこで、spuriousではないMRシグナルを得るために4端子構造による非局所伝導を利用した非局所MR効果の観測を目指した。その結果3.6Kという低温領域においてSWNTを流れるスピンカレントに起因すると思われるMR効果を観測した。MRは約3%であり、この結果からスピン散乱長を見積もるとおよそ90nmであることが分かった。これは前年に見積もった我々が実験的に用いているSWNTのキャリア散乱長が200nm程度であることと大きくは矛盾しない。今後はさらに素子を多く作製し、結果の再現性・信頼性を高めてゆく。 また、SWNT中のスピンカレントの制御にはゲート電極によるゲート電圧の印加が有効であることがわかっているが、F/SWNT系を用いたFET素子の試作を引き続き行い、その特性の解析から先のKFM法による解析が信頼できることを間接的に示した。
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Research Products
(3 results)