2007 Fiscal Year Annual Research Report
立体混雑したトリアリールホスフィンを鍵構造とする巨大分子の構築
Project/Area Number |
17310063
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 茂 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (90254143)
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Keywords | トリアリールホズフィン / キノン / オリゴマー / 鈴木-宮浦カップリング / 分子内電荷移動 / 酸化還元的性質 / 混合原子価 / 31P NMR |
Research Abstract |
立体混雑したトリアリールホスフィンと2,5-ジアリールベンゾキノン又はナフトキノンが交互に連結したオリゴマーを鈴木-宮浦カップリングを鍵反応として合成しその性質を検討した。いずれのオリゴマーも分子内電荷移動により青から青紫色に着色した固体として単離され、そのホスフィン部位の酸化電位とキノン部位の還元電位の差が小さくなるほど電荷移動遷移の極大吸収波長が長波長シフトした。一方、これらのオリゴマーは弱い蛍光を発するがその強度はユニット数の増加に伴い激減した。また、対応するトリアリールアミン-ナフトキノンオリゴマーを合成しその性質を比較したところ、トリアリールアミン-ナフトキノンオリゴマーの方が分子内電荷移動遷移が強い反面、トリアリールホスフィン-ナフトキノンオリゴマーではサイクリックボルタモグラムから予想されるポリ(カチオンラジカル)における電子反発が強くレドックススイッチとして優れていること、巨大分子の構造決定の際^<31>P NMRスペクトルにリン原子に置換した3つの芳香環が形成するプロペラのhelicityに由来するジアステレオマーの分布が反映されることが有用であることが分かった。更に、立体混雑したトリアリールホスフィンを鍵構造とする次世代巨大分子の構成要素として期待されるトリス(2,4,6-トリシクロヘキシルフェニル)ホスフィンカチオンのラジカルの大量合成、単離法を確立し、磁化率の温度依存測定から100%近いスピン濃度を有すること、分子間磁気的相互作用が殆ど見られないことを明らかにした。このユニットを2つ連結することによりEL素子の正孔輸送剤として知られるジアミンであるTPDのリン原子アナログを合成し、その酸化還元的性質、特に2つのホスフィンにより構成される混合原子価状態について紫外可視近赤外分光、ESRにより明らかにした。
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Research Products
(10 results)