2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノミクロ機能性新素材設計シミュレーション・システムの開発と応用
Project/Area Number |
17310067
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大野 かおる 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40185343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 聡 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (90377094)
大槻 勤 国立大学法人東北大学大学院, 理学研究科, 助教授 (50233193)
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Keywords | 第一原理計算 / GW近似 / T-matrix理論 / ダブルイオン化エネルギー / 内包フラーレン / 時間依存密度汎関数理論 / 化学反応ダイナミクス / 電子励起 |
Research Abstract |
◎我々はこれまでに我が国の数少ない完全オリジナルな第一原理計算手法として「全電子混合基底法」を開発してきた。本研究では、このプログラムにさらに、結晶に対してもグリーン関数(G)とRPA遮蔽クーロン相互作用(W)を用いた多体摂動論に基づくGW近似を可能とするような改良を行い、LiCl結晶の準粒子エネルギー・スペクトルの全電子計算を行った(Materials Transactions 46 1100-1102(2005))。また、GW近似から1電子グリーン関数を決定し、これに基づいてさらに2電子間のクーロン相互作用による多重散乱をT-matrix理論により取り扱って2電子グリーン関数を求めるプログラムを開発し、原子・分子のダブルイオン化エネルギー・スペクトルを精密に決定することに成功した(J.Chem.Phys.123,144112;1-5(2005))。また、C_<60>にPo原子を挿入する第一原理分子動力学シミュレーションと原子核反跳効果を利用した実験によりPo内包C_<60>が創製されることを理論・実験両面から確認した(Phys.Rev.B 72 153411;1-3(2005))。さらに、時間依存密度汎関数理論による全電子分子動力学シミュレーションにより、2電子励起状態におけるLi_2+H_2⇔2LiHやH_2+F_2⇔2HFなどの化学反応ダイナミックスを調べ、これらの反応はシーソーのように双方向に可逆的・透熱的に進行し,電子励起エネルギーは分子解離の運動エネルギーにスムーズに移行することを発見した(Chem.Phys.Lett.405 234-239(2005))。 ◎この他、以下の研究を行った。ピーナッツ型のフラーレン(C60)ポリマーの電子状態に関する第一原理計算を行った(J.Metastable & Nanocrystalline Materials 24/25,249-252(2005))。水素終端Si(100)2×1表面のミッシングダイマーの第一原理計算を行った(J.Metastable & Nanocrystalline Materials 24/25,245-248(2005))。高分子ブラシのエントロピーのモンテカルロシミュレーションを行った(J.Metastable & Nanocrystalline Materials 24/25,241-244(2005))。 ◎また、購入したハイパフォーマンスコンピュータに上記の全電子混合基底プログラムとその他の各種プログラムをインストールすることにより、ナノミクロ機能性新素材設計シミュレーション・システムを構築した。これを用いた研究は進行中である。
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Research Products
(10 results)