2006 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起非線形現象を用いたナノ・ミクロ磁気秩序制御と機能性マイクロマシン創成
Project/Area Number |
17310068
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
武田 淳 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60202165)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 かおる 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (40185343)
丸尾 昭二 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教授 (00314047)
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Keywords | 有機ラジカル / 強相関物質 / 2光子吸収 / 光誘起磁気相転移 / 非線形 / 磁気秩序制御 / マイクロマシン |
Research Abstract |
有機ラジカル1,3,5-trithia-2,4,6-triazapentalenyl(以下TTTA)結晶は、室温を挟む広い温度領域にわたって磁気双安定領域を持つ一次の常磁性-反磁性磁気相転移が見出されて以来、新規の強相関物質・光誘起相転移を示す物質として注目されている。本研究では、2光子吸収過程によりナノ・ミクロ領域の磁気秩序の自律的制御の方法を探索するとともに、その非線形性を活用し、光磁気機能性を有した微小マイクロ・ナノマシン創成とその操作手法を構築することを目指すものである。 本年は、強相関有機ラジカル結晶TTTAの2光子吸収の励起波長依存性・偏光依存性を詳細に測定し、2光子吸収領域における光誘起磁気相転移の閾値特性と比較することにより、2光子吸収に伴う光誘起磁気相転移の巨大な非線形応答性を理解することを主な目的とした。その結果、2光子吸収による反磁性相の発光強度は励起密度の〜2乗に比例すること、そこから見積もった2光子吸収スペクトルは光誘起磁気相転移の閾値の励起エネルギー依存性とよく一致すること、1光子吸収の半分のエネルギー領域で(2光子)発光強度は強くなること、などを見出した。これらの実験結果は、2光子共鳴により大きな非線形性を持って光誘起磁気相転移が生じることを示唆している。2光子吸収では、反磁性結晶の表面だけでなく内部にまで効率的に磁気相転移の源となる「常磁性相の核」が生じる。この核が(閾値を越えて)ある大きさ以上になると3次元的に一気に相転移が進行するので、1光子吸収に比べて急峻で大きな非線形性が現れるものと考えられる。
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