2006 Fiscal Year Annual Research Report
共鳴的相互作用を利用した1分子の力学・電子物性計測
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17310069
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
新井 豊子 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 助教授 (20250235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富取 正彦 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 教授 (10188790)
村田 英幸 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 助教授 (10345663)
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Keywords | ナノ力学分光 / 表面局在相互作用分光法 / 電圧印加非接触原子間力分光法 / 化学結合力 / 非接触原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究では、非接触原子間力顕微鏡(nc-AFM)を利用する力学的分光法である「表面局在相互作用分光法」を活用して、固体表面上に形成された電子・光デバイスとして機能をもつ単一分子の構造とその結合状態・電子状態を原子スケールで解析する。原子間力顕微鏡の探針と試料間に印加された電圧がもたらすフェルミ準位の変化を利用したナノ構造と界面の物性評価法の確立と、そのナノスケール加工技術への応用をめざす。 本年度は、極低温で動作する超高真空nc-AFMの調整、分子試料調製装置および試料搬送装置を設計・試作しつつ、探針の調製・評価を行った。本研究で用いる表面局在相互作用分光法は原子スケールで鋭利な探針を試料原子に近づけて測定するので、その成否は探針先端の鋭さ、原子配列構造や電子状態あるいは元素組成などの探針の特性が握っている。このため探針の調製は本研究の重要なキイである。超高真空中で清浄化したSi探針先端にGeを蒸着して特異なファセット構造をもつGeクラスターを成長させた。Geクラスター探針は安定なファセット画で囲まれているため非常に安定な構造であり、加熱により再生能力があり、何度でも同じ電子状態の探針を 作れることが示唆された。また、Siナノピラー探針とSi表面間にポイントコンタクトを形成し、コンダクタンスー印加電圧特性を計測したところ、コンダクタンスの量子化が観察された。これは、Siの微小接触領域に不連続な電子準位が存在し、印加電圧を上げていくと、その準位を超したときに電流に寄与する電子がステップ的に増加していくとためであると予想している。離散的準位をもつ分子を介在したときのも同様の振る舞いが観測されると期待される。
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Research Products
(4 results)