2005 Fiscal Year Annual Research Report
巨大リポソームやキュービック相を用いた生体膜の膜融合・膜分裂の研究とその応用
Project/Area Number |
17310071
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山崎 昌一 静岡大学, 理学部, 助教授 (70200665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 一世 千葉大学, 理学部, 教授 (90114248)
伊藤 忠直 京都大学, 低温物質科学センター, 助教授 (90093187)
山田 眞平 静岡大学, 理学部, 教授 (40022230)
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Keywords | 生体膜 / 脂質膜 / ナノバイオ / 膜融合と膜分裂 / 生体膜のキュービック相 / 1分子計測 / 巨大リポソーム / 単一GUV法 / 生物物理学 |
Research Abstract |
1.高感度電子増倍型デジタルCCDカメラが科研費の交付が正式に決まった後に注文し、その後生産を開始したので、納入が11月末になった。そのため、このカメラを用いた膜融合の素過程の解析などは、まだ予備的なデータが出ている段階である。 2.秩序液体相のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)/コレステロール(chol)混合膜の巨大リポソーム(GUV)の膜分裂が低濃度のリゾホスファチジルコリンにより誘起されることを報告している。今回は、リゾホスファチジン酸やオクチルグルコシドなどの1本の炭化水素鎖を持つ物質がDPPC/chol-GUVの膜分裂を誘起することを見出した。この結果は、この膜分裂が一般性のある現象であることを示す。 3.直径100nm程度のジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG)とモノオレイン(MO)の混合膜の1枚膜のリポソーム(LUV)とCa^<2+>との相互作用をX線小角散乱法により調べた。その結果、低濃度のCa^<2+>がLUVをキュービック相(Q^<224>相とQ^<229>相)に構造転換することを見出した。これはLUVがキュービック相に構造変換できることを示した最初の例である。この構造変換では膜融合が重要な役割を果たしている。 4.電気的に中性のリン脂質であるDOPC/DPOPE-GUVのLa^<3+>による膜融合のメカニズムの解明のために、そのような膜界面にある正電荷の効果を理論的に解析した。正電荷はそのまわりの脂質頭部にある双極子モーメントの分極を起こし、膜に横方向の圧縮力を誘起することが明らかになった。 5.抗菌性ペプチドのマガイニン2と50%DOPG/50%DOPC-GUVの相互作用を単一GUV法で調べた。マガイニン2が脂質膜にポアを形成することを直接的に示すだけでなく、ポアの形成や蛍光物質の漏れに関する新しい情報を得ることに成功した。
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Research Products
(6 results)