2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310084
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 喜萬 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20128771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 義彦 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (50285300)
秋田 成司 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (60202529)
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Keywords | カーボンナノチューブ / モーター / NEMS / マニピュレータ / 透過電子顕微鏡 / 滑り |
Research Abstract |
1.「kTモーター」構造の製作プロセス構築 KTモーターの素材となるカーボンナノチューブ(CNT)の欠陥と電気的、機械的特性の関係、多層CNTの層間滑りによるエネルギー損失、塑性変形とその修復について実験的および理論的に検討した。特に、塑性変形が準安定状態であること通電による回復は新しい発見である。 KTモーターとして、短いCNTを回転子、それを固定子となる長いCNTで覆う2層構造を採用した。その製作プロセスとして、1)単層CNTにC60を内包させ、それを加熱して回転子を作る方法と2)2層CNTの内層を短く加工し回転子とする方法を検討した。なお、内外層のカイラリティは電子線回折により同定した。これまで製作した構造は、内層CNTが完全な真円チューブ構造ではないことが透過電子顕微鏡により確認された。内層CNTは熱振動による回転揺らぎをもち、そのエッジ部の不定形な構造は見えないと予測していたが、300°Kの温度下でも安定に停止していた。 2.「kTモーター」に要求されるカイラリティの理論的検証 kTモーターを構成する適切なCNTの組み合わせを原子シミュレーションにより探索した。この場合、内層を固定子として端点の影響が無視できるほど十分長く取り、外層を回転子としてユニットセル程度の長さとした。内直径を14Å程度、層間距離3.4Å程度とした種々のカイラリティの組み合わせを試した。回転に対するポテンシャル変化が非対称なモデル候補は、内外層ともに構造対称性が低く、かつ内外層の構造差が大きくないと推察した。その結果、内層(17,1)/外層(22,7)の組み合わせが回転非対称なポテンシャル変化を示すことを確認した。このポテンシャルのピーク変化の最大値は約1.5meVであり、また、高周波成分のポテンシャル変化は約lmeV程度であることから、モーターとしての動作温度は20K程度であると予測した。
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Research Products
(38 results)