2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310103
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
箕浦 幸治 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (10133852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今村 文彦 東北大学, 大学院工学研究科, 教授 (40213243)
今泉 俊文 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (50117694)
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Keywords | 津波 / 津波堆積物 / 粒子形状 / 物質移動 / 粒度 / 堆積相 / 水槽実験 / 数値実験 |
Research Abstract |
これまでの国内外の津波災害研究では,発生津波に関わる観測結果と事後の災害調査に主眼をおいた解析により進められて来た。津波災害の最も深刻な事態は、津波による物質の移動に伴って発生する。しかしながら、平野を埋め立てる広範な砂の堆積や丘陵をなす膨大な土砂の集積をもたらす水理学的・堆積学的機構に関しては多くが不明であり,科学的な説明は得られていない。強力な流れによる物質の移動機構の解明には,運搬される物質をミクロ的(粒子表面観察,粒子形状測定,粒度測定)及びマクロ的(堆積相解析,水槽実験,数値実験)に検討しなくてはならない。本研究では、砂の堆積現象が最も広範囲に現われた869年貞観仙台沖地震津波による堆積物運搬の様式を粒度組成及び堆積相から類推し,津波による流れの水理学的実体を理解するための初期条件を求める堆積学的検討を行っている。併せて、水槽実験により分級現象と削打現象を再現し,堆積情報と媒質流体の速度と密度の関係の数値的な対応を試みつつある。これらの堆積学的・水理学的結果に基づき,災害をもたらす劇的な堆積物運搬の現象が次第に明らかになりつつある。 申請設備備品であるレーザー回折式流度分析装置による粒子組成解析結果からは,貞観津波堆積層を構成する砂層の明瞭な陸側細粒化現象が検出された。この現象は堆積物の移動と集積を試行する水槽実験装置の再現結果と調和しており,堆積層の細粒化様式が湖上津波のエネルギー散逸を反映する重要な基準として扱い得る可能性が明らかとなった。この基準は,海岸とその後背平野の成り立ちを理論的に理解する自然地理的条件を与え,更に海岸平野に於ける都市・産業基盤整備に不可欠の知識を与えるものと期待される。平成18年度に福岡で開催された国際堆積学会での講演では,これらの結果を津波災害の実態の解釈に適応して紹介し,注目を集めた。
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Research Products
(6 results)