2006 Fiscal Year Annual Research Report
機能性リボヌクレオペプチドによる生体内情報伝達シグナルの検出と制御
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17310125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森井 孝 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (90222348)
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Keywords | バイオセンサー / セカンドメッセンジャー / 分子認識 / リセプター / ケミカルバイオロジー / コンビナトリアルケミストリー / RNA / ペプチド |
Research Abstract |
本研究では、申請者らが開発した機能性リボヌクレオペプチド(RNA-ペプチド複合体)構築法をもとにして、細胞内シグナル伝達を担うセカンドメッセンジャーとタンパク質リン酸化にリアルタイムに応答する蛍光性バイオセンサーおよびシグナル伝達制御デバイスを開発し、細胞内シグナル伝達を可視化もしくは制御するテクノロジーを創出することを目指す。平成18年度の研究では、細胞内でのシグナル伝達を担うリン酸化タンパク質をさまざまな波長により計測できる蛍光バイオセンサーの構築と機能評価を行った。 【標的とするリン酸化チロシン配列】リボヌクレオペプチド機能化法を用いて、シグナル伝達に関わるリン酸化タンパク質中のリン酸化チロシンを含むテトラペプチドを捕捉するリボヌクレオペプチドリセプターの作製と、光学的にセンシングするリボヌクレオペプチドセンサーの開発を行った。標的とするタンパク質リン酸化部位は、ガン遺伝子Rasの活性化に関与するEBNA2 co-activator中に含まれる883番目のチロシンリン酸化配列(Gly-pTyr-Ser-Arg、GpYSR)とした。 【リン酸化チロシンを含むアミノ酸配列に対するRNPリセプターの構築】リン酸化チロシンを含むGpYSRをより高い親和性と選択性で認識するリボヌクレオペプチドリセプターを作製するために、ランダム塩基配列からなる30塩基長のRNAライブラリーより多様性が増した、ランダム塩基配列からなり、かつ、7から40塩基長を有するRNAをもとにしたリボヌクレオペプチドライブラリーを構築した。このリボヌクレオペプチドライブラリーをもとにして、in vitroセレクションにより得られた8塩基の高度な保存配列5'-AUCAG--GAG-3を有するGpYSR20/Rev複合体のGpYSRに対する平衡解離定数は、K_d=4.8±0.6μMであった。このリン酸化チロシン結合性RNPリセプターのGpYSR認識様式は、リン酸化チロシン残基に対して高選択的であるが、Gly,Ser,Arg部位も分子認識に寄与することが示された。これらの結果からGpYSR20/Rev複合体は、リン酸化タンパク質に対する人工リセプターとして、同一タンパク質中のチロシンリン酸化部位あるいは異なるリン酸化タンパク質のチロシンリン酸化部位を識別できる可能性が示された。 【リン酸化チロシンを含むアミノ酸配列に対する蛍光センサーの構築】RevペプチドN末端に蛍光分子を導入しても、リセプターと同じ基質選択性と親和性を保持するかどうかを調べるために、GpYSR20/5FAM-Rev複合体のリボヌクレオペプチドセンサーとしての機能評価を行った。蛍光スペクトルの測定により、GpYSR20/5FAM-Rev複合体はGpYSR濃度増加と共にフルオレセイン分子に由来する蛍光強度増加の変化が観測できた。
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Research Products
(7 results)