2005 Fiscal Year Annual Research Report
酵素の有機溶媒耐性の解明とタンパク質工学的手法による新規有機溶媒耐性酵素の開発
Project/Area Number |
17310131
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
荻野 博康 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (80233443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石見 紘策 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (30081350)
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Keywords | 酵素 / 有機溶媒耐性 / タンパク質工学 / プロテアーゼ / リパーゼ / ジスルフィド結合 / 構造変化 / 反応動力学 |
Research Abstract |
ファインケミカル製品等の製造プロセスにバイオ技術を導入することにより、これらのプロセスを環境適応型製造プロセスに転換することが可能となるが、ファインケミカル製品等の製造プロセスで溶媒として一般的に用いられている有機溶媒の存在下では、既存の生体触媒(酵素・微生物)を用いることができない。有機溶媒存在下では酵素は不安定で容易に失活するためである。そこで、有機溶媒存在下でも失活しない有機溶媒耐性生体触媒が切望されている。 本研究では、分子生物学的手法を用いた有機溶媒耐性酵素の開発、および有機溶媒耐性酵素や有機溶媒耐性微生物を高効率で用いるための工学的研究を行う。 1.比較生物学的手法による酵素の有機溶媒耐性に関与する部位の同定 有機溶媒耐性微生物Pseudomonas aeruginosa PST-01株が分泌する有機溶媒耐性のPST-01プロテアーゼと非常に構造が似ている類似してサーモライシンの構造上の違いの一つであるジスルフィド結合に注目し、サーモライシンへのジスルフィド結合の導入を試みた。まず、ジスルフィド結合を導入した変異酵素の構造を計算により算出し、本来の構造を大きく変化させないような位置を探した。その情報に基づき、アミノ酸を置換した変異酵素を作製した。 2.有機溶媒存在下での酵素・ポリペプチドの構造変化測定 種々のプロテアーゼの有機溶媒存在下での構造の変化を観察した。その結果、有機溶媒耐性酵素は有機溶媒存在下でも構造変化を起こさないことを見出した。また、種々のポリペプチドを用い、有機溶媒存在下での構造変化を観察したところ、α構造は有機溶媒存在下でも安定しており、有機溶媒安定な酵素ほど、α構造の割合が多いことを見出した。 3.有機溶媒存在下での酵素の反応動力学解析 有機溶媒耐性微生物Pseudomonas aeruginosa LST-03株が分泌する有機溶媒耐性のLST-03リパーゼの反応動力学を明らかにし、水-有機溶媒2相系での酵素反応機構を理論的に解析した。
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