2006 Fiscal Year Annual Research Report
半自然草原の管理・維持機構とチョウ類の群集構造・多様性保全に関する研究
Project/Area Number |
17310138
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Research Institution | Yamanashi Institute of Environmental Sciences |
Principal Investigator |
北原 正彦 山梨県環境科学研究所, 自然環境・富士山火山研究部, 主幹研究員 (70342962)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 幹夫 山梨県環境科学研究所, 地域環境政策研究部, 研究員 (60342961)
安田 泰輔 山梨県環境科学研究所, 自然環境・富士山火山研究部, 研究員 (40372106)
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Keywords | 半自然草原 / チョウ類群集 / 草本群落 / 絶滅危惧種 / 多様性パターン |
Research Abstract |
これまでの調査から、半自然草地には主にススキが優占する群落とトダシバとオオアブラススキが優占する群落がモザイク状に分布しており、チョウ類の利用可能な餌資源は、トダシバとオオアブラススキが優占する群落に偏って出現していた。これより半自然草地内部においては、空間的に不均一なチョウ類の餌資源利用が生じていることが示唆された。 これを検証するために、本年度は半自然草地中の獣道に沿って10mのベルトトランセクトを23区隣接させて設置し、各ベルトトランセクトにおいて開花フェノロジーとチョウ類成虫の種類を5月から10月まで調査した。その結果、各ベルトトランセクト上ではススキ優占群落とトダシバ優占群落、オオアブラススキ優占群落の他に、シバスゲ優占群落、カリヤスモドキ優占群落、低木群落が確認できた。チョウ類の種多様性(年間総種数)とこれら局所群落の優占度及び開花があった植物種数、局所群落の不均一性の関係を解析した結果、チョウ類の種多様性は開花があった植物種数及び局所群落の不均一性と有意な正の関係が認められた。一方、これら局所群落とチョウ類の多様性の間には有意な関係は認められなかった。以上より、昨年度示唆されたトダシバとオオアブラススキが優占する群落にチョウ類の餌資源利用が偏っているのではなく、むしろ様々な局所群落が混在し、開花した植物種数が多い場所において、チョウ類の種多様性が高いことが判明した。このことはチョウ類の保全において、刈取りや火入れによって均一な草地を維持するよりも、様々な局所群落が成立するモザイク状の草地の形成と維持・管理が重要であることを示唆している。 一方、富士山北麓における半自然草原の分布状況把握を目的として、1995年から2000年の間に観測された4時期のランドサット衛星観測画像を用いて土地被覆分類を行った結果、2つの異なるカテゴリータイプに分けて草原を抽出できることを示唆する結果が得られた。
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Research Products
(4 results)