2007 Fiscal Year Annual Research Report
半自然草原の管理・維持機構とチョウ類の群集構造・多様性保全に関する研究
Project/Area Number |
17310138
|
Research Institution | Yamanashi Institute of Environmental Sciences |
Principal Investigator |
北原 正彦 Yamanashi Institute of Environmental Sciences, 自然環境・富士山火山研究部, 主幹研究員 (70342962)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 幹夫 山梨県環境科学研究所, 地域環境政策研究部, 研究員 (60342961)
安田 泰輔 山梨県環境科学研究所, 自然環境・富士山火山研究部, 研究員 (40372106)
|
Keywords | 半自然草原 / チョウ類群集 / 草本群落 / 絶滅危惧種 / 多様性パターン |
Research Abstract |
チョウ類については、引き続きトランセクト調査を実施して、2005,6年度に得られた群集構造や多様性のパターンについての普偏性、再現性を検討した。その結果、年度間で大きな違いは認められず、チョウ類の多様性維持や希少種保全にとっての半自然草原の重要性確実なものとなり、その管理放棄された草原環境の維持機構の解明が益々重要性を増した。これを受けて以下の草原の調査を実施した。 野尻草原は長草型群落と短草型群落に大別され、これまでの調査で、チョウ類成虫の吸蜜植物は短草型群落に偏って分布するこが示された。本年度はこれら2つの群落型の成立機構を明らかにするために、野生植物の攪乱と関係づけて研究した。その結果、長草型群落は比較的攪乱が少ない場所に分布し、短草型群落は頻繁に攪乱される場所に分布していた。このことから、空間的に不均一な野生動物の攪乱によって短草型群落の空間パターンと種多様性が維持されており、その結果チョウ類の吸蜜植物の空間パターンも短草型群落に偏っていると考えられた。本研究の結果から、比較的植物種の多様性が高い草地の維持機構として野生動物の攪乱が重要な要因であることが示唆され、管理に伴う人的労力をかけずとも多多様な草地環境を維持することが可能であるこが示された。 また、野尻草原周辺を対象に、1995年以降2007年までに観測された衛星画像データを用いた土地被覆分類と画像目視による判読調査を行った。その結果、地上解像度30mのランドサット衛星画像による分類では、落葉期に観測された画像を単独で、あるいは落葉期の観測画像を組み合わせて用いることで、草地、常緑樹林、落葉樹林の分布把握が容易であったが、落葉樹からカラマツに代表される落葉針葉樹林と区分して広葉樹林を識別するのは困難であり、衛星画像と既存データの組み合わせによる融合解析が必要であることがわかった。一方、ランドサットよりも高い解像度を有する衛星画像の目視による判読を行った結果、10mより高い解像度では草原内の樹木分布を特定できることが示唆された。草原への樹木の侵入を衛星画像でモニタリングするためには、高解像度の衛星画像の利用が有効であると考えられた。
|
Research Products
(6 results)