2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17310143
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高橋 基樹 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (30273808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 康雄 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (90146556)
福井 清一 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (90134197)
小川 啓一 神戸大学, 国際協力研究科, 助教授 (90379496)
金子 由芳 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (10291981)
ALEXANDER R.B. 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (40221006)
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Keywords | 貧困 / 脆弱性 / 人間の安全保障 / エンパワーメント / リスクと社会制度 / 障害と開発 / 欠乏と恐怖 / マイノリティ |
Research Abstract |
1.現地調査等での知見 平成17年度当初の交付申請書で示した研究実施計画に基づき、アジア2ヶ国(ラオス、フィリピン)およびアフリカ1ヶ国(タンザニア)において現地調査を行った。フィリピンにおいては、都市低所得者層の生活に潜む脆弱性、ラオスに関してはHIV・AIDS問題、あるいは人身売買(ヒューマン・トラフィッキング)等と脆弱性の関係、タンザニアについては孤児、妊娠した女子学生、マイノリティ(遊牧民・ムスリム)など教育サービスの受益者のかかえる脆弱性などについて具体的な知見を得た。これにより、貧困・脆弱性問題の多面性と広がり、また往々にして区別される「欠乏」と「恐怖」の2つの問題の密接な関わりが明らかとなった。 2.ワークショップ等 平成18年2月23日には、平成17年度の研究・調査のしめくくりとしてワークショップを行った。そこでは(1)人間の安全保障の理論的構成と貧困・脆弱性の概念の関係をどう捉えるか、(2)脆弱性という概念を主体、特に個人の属性と見ることが適切か否か、(3)脆弱性は個人あるいはその他の主体へのリスクの種類ごとに異なる多様なものであると見ることが妥当か否か、(4)脆弱性を潜在的に多く抱える人びとのエンパワーメントとは、社会的制度の変更とどのような関係に立っているか、などの理論的な論点につき、議論をした。さらに開発途上国の具体的な現実に目を転じて、(5)途上国において脆弱性と密接に関わる「障害」を有する人々を取り巻く状況、(6)途上国において人びとが従来から有していたと思われるリスクを分散し、被害を最小限に食い止めるための社会的仕組みなどについて議論した。 3.研究実績 上記の知見を形成する過程で、執筆された研究実績は「研究発表」欄に記載してある。これらの成果を踏まえて、来年度以降の研究を進めてゆく所存である。
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