2006 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー(心理社会的性)とセックス(生物学的性)の交互作用に関する研究
Project/Area Number |
17310151
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
金井 篤子 名古屋大学, 大学院教育発達科学研究科, 教授 (80262822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 節子 名古屋大学, 医学部, 教授 (80111847)
村瀬 聡美 名古屋大学, 発達心理精神科学教育研究センター, 助教授 (30335020)
尾崎 紀夫 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40281480)
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Keywords | ジェンダー / セックスとの交互作用 / 遺伝子 / 産後うつ病 |
Research Abstract |
本研究は、男女共同参画社会の実現に資する資料を提供することを目的として、妊娠期・産褥期うつ病および産後うつ病の発生におけるジェンダーとセックスの影響とその交互作用を検討する。よく知られているように、うつ病の発生は女性が男性の約2倍であり、従来より「女の病」として取り上げられることが多い。今回ターゲットとした女性に特有な妊娠期、産褥期、産後の経過におけるうつ病の発生率は約10〜15%と報告されており、うつの発生の性差に生理学的な理由のあることは明らかである。しかし、女性の社会進出に伴う仕事と子育てとの葛藤や期待される母役割の認知などの心理社会的要因や、他に個人の遺伝的素因の影響も無視できない。このため、妊娠期から産後までを縦断的に対象とし、生理学的調査、心理社会的調査および遺伝子解析調査を行い統計的に解析することにより、これらの要因間の関係性の解明を目指す。 本年度は本研究の2年次であり、昨年度に引き続き、名古屋市内の病院の産婦人科に妊娠・出産のために受診している妊産婦を対象として、調査協力の同意書に署名した被験者の獲得と調査の実施を行った。結果昨年度までと合わせて、心理社会的調査394名、遺伝子解析調査217名(生理学的調査は昨年度で終了)を獲得した。 妊娠末期、産褥早期、産褥1ヶ月に採取した血液60人分(180検体)を分析中であり、血液中の抑うつ状態関連物質、ストレス関連物質、神経細胞増生因子、代謝関連ホルモンなどの測定を終了しつつある。次年度は、これらと周産期の気分状態との関連性を分析してゆく。心理社会的要因との関連についても、分析を進める。また、遺伝子解析用のDNA検体収集は217検体に達し、十分な数とはいえないが、来年度から本格的に解析に入る。最終的には、この3つの知見の統合的分析を進める。
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