2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17320004
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田中 伸司 Shizuoka University, 人文学部, 教授 (50207099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千葉 恵 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (30227326)
三浦 洋 北海道情報大学, 情報メディア学部, 准教授 (50396272)
中澤 務 関西大学, 文学部, 准教授 (10241283)
茶谷 直人 神戸大学, 大学院・人文学研究科, 准教授 (00379330)
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Keywords | 哲学 / 倫理学 / 西洋古典 |
Research Abstract |
本研究はギリシア哲学とりわけプラン研究とアリストテレス研究が交錯する局面として基礎的な「魂論」という場面に狙いを定め,個別領域的な研究の枠を踏まえつつもそれ超えでることを目指した。本研究の参加者が目標としてきたのは,まず,プランとアリストテレスにおける魂の定義,魂と身体の関係,魂に帰属される諸機能(たとえば思考,感覚,感情,信念,欲望,表象はいかなるものでありそしてそれは身体器官とどのような仕方で関わるのか)について分析し,共同研究を通じてそれぞれの理解を深めることであった。そのうえで,プラトンとアリストテレスにおける同意点と論争点を,心の哲学や規範性をめぐる倫理学をも参照し,それらの現代的な意義に照らして明確なものとすることを試みた。そのために,平成17〜19年度の各年度において,研究の参加者全員が集まる研究会を行なった。最終年度に当たる2007年度は7月30日に北海道大学において研究会を行った。第一部は千葉恵による研究発表「パウロにおける心身論-信の文法を介して-」を行い,第二部では中澤務著『ソクラテスとフィロソフィア-初期プラン哲学の展開-』ミネルヴァ書房(2007)についての合評会(特定質問者を栗山雅敏,西田伊知郎(北海道大学大学院)の両氏にお願いした)を行った。合計で16名の参加者があり,研究の最終年度の研究会として,内容的に実り豊かな会となった。魂論にかんする共同研究を通じて,私たちは「魂」という捉え方が古代ギリシアの倫理思想を根底において規定しているという共通の理解に立ち,魂についての捉え方が「徳概念」の理解と分析において決定的であること,同時にそれは「行為」をめぐるさまざまな問題領域を拓き,そして「幸福」という局面へと収斂していく問題系を立ち上げることを確認した。
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Research Products
(11 results)