2008 Fiscal Year Annual Research Report
チベット・ポタラ宮所蔵梵本『維摩経』に基づく総合的研究
Project/Area Number |
17320016
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Research Institution | Taisho University |
Principal Investigator |
多田 孝文 Taisho University, 人間学部, 教授 (50054656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 尚夫 大正大学, 人間学部, 教授 (90297078)
小峰 彌彦 大正大学, 人間学部, 教授 (80297077)
平井 宥慶 大正大学, 人間学部, 教授 (90054668)
佐久間 秀範 筑波大学, 大学院・人文社会科学研究科, 教授 (90225839)
廣澤 隆之 大正大学, 人間学部, 教授 (20317639)
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Keywords | 維摩経 / Vimalakirtinirdes / 梵本写本 / 支謙 / 鳩摩羅什 / 玄奘 / 大乗仏教 / ポタラ宮 |
Research Abstract |
本研究も最終年度となった。2004年に「梵蔵漢対照『維摩経』」が出版され、その後2006年に出版された「『梵本維摩經』-ポタラ宮所蔵写本に基づく校訂-」によって写本校訂作業は終了した。 本年度は前年度に引き続き、シンポジウム録の校正を行うと同時に『維摩經』訳に注目して研究を進めた。研究分担者である坂本廣博氏が支謙訳の『維摩経』を試訳した。広く読まれている鳩摩羅什訳『維摩詰所説経』との比較研究が期待される。その試訳が「支謙訳『維摩経』試訳(一)」として『叡山學院研究紀要 第31号』に所収されている。 また、ベルギーの大仏教学者であるラモット博士による物“L' Enseignement de VimalakIrti"(Louvain,1962)は「維摩経」のフランス語訳として非常に高い評価を受けたばかりでなく、「維摩経」の研究書としても多岐にわたる詳細な研究に基づく正確無比な内容で知られ、今なお「維摩経」研究書の頂点に立つ。とりわけ、その序論は「維摩経」の歴史、教理など一切を網羅すると言って過言ではない。このラモット博士のフランス語訳「維摩経」の「序論」(“INTRODUCTION")を、Sara Boinによる英語訳をベースに、研究協力者である西野翠氏が翻訳したものを基に研究を進めた。この訳に関しては郭忠生氏による中国語訳も出版されており、中国語訳本には郭氏の追跡研究の結果が加えられているばかりでなく、仏訳・英訳の要約が示され、箇所のみが挙げられている漢訳経文については、その全文を提示し、あるいは引用経典を大正蔵経で検索しやすいように、経典番号だけでなく、巻数と頁数を明記するといった工夫が随所に見られた。この中国訳本を参考に研究を進め、幅広い知見を得ることができた。 以上のように上記2つの訳を中心に研究を行い、現在までの『維摩経』研究の成果を踏まえつつ新しい視点から翻訳研究に取り組んだ。
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Research Products
(1 results)