2006 Fiscal Year Annual Research Report
空間思想の比較史的検討とそれに基づく人文・社会科学理論の構築
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17320020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山室 信一 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (10114703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早瀬 晋三 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20183915)
菊池 暁 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (80314277)
坂本 優一郎 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (40335237)
谷川 穣 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (10362401)
藤原 辰史 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (00362400)
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Keywords | 社会空間 / 海域世界 / 世界認識 / 空間形成 / 記憶 / 地政学 / ナチズム / インターネット空間 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、(1)基本文献の会読・紹介・資料蒐集および、(2)国内の特異な空間配置と景観形成に関するフィールドワークを中心に研究をすすめ、それに基づいて(3)特別シンポジウムを開催し、研究書を公刊することで、研究成果の一部を公開した。 (1)近代の人文・社会諸科学各分野における空間論についての理解の共有と論点の抽出をおこなった。月二度例会を開催し、研究代表者および分担者が以下をはじめとする諸文献の会読を進めた:テンニエス『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト』、大塚『共同体の基礎理論』、ソジャ『第三空間』、ウィットフォーゲル『支那社会の科学的研究』、ダレエ『血と土』、岡倉『東洋の理想』、津田『支那思想と日本』、谷川『東洋と西洋』、高山『世界史の哲学』、八束『思想としての日本建築』。さらに、「インターネット空間」に関連する文献も含めて検討し、物品費・出張費・複写費を用いて、これらに関連する資料・諸文献の調査・蒐集をおこなった。 (2)今年度は、国内出張費によって「海域世界空間」の実地調査をおこなった。瀬戸内海の日生では、漁港及び島嶼部のフィールドワークを実施し、海域世界の実態とその記憶のされかた、史資料の残されかたについて調査した。また、種子島および屋久島では、遣唐使・鉄砲伝来・明治以降の外国船に代表される漂流の実態とその記憶について、漂着地の実地踏査をおこなった。これらの調査によって、瀬戸内海と西日本や朝鮮半島・フィリピンとの海域世界の連続性と断絶性、中国・西欧諸国と西南日本の海域世界との関係について、貴重な知見を得ることができた。 (3)7月に公開特別シンポジウム「帝国日本を生きたナチズム」を開催、100名以上の一般聴衆の参加も得て、盛会のうちに終えることができた。本プロジェクトの研究成果を社会に還元するとともに、一般聴衆との意見交換を通じて社会のまなざしを研究にフィードバックさせる貴重な機会となった。このシンポジウムでは、謝金を用いて外部の専門家を講演者の一人として招聘した。さらに、岩波講座『「帝国」日本の学知』シリーズの第8巻として、研究代表者山室を編者とする『空間形成と世界認識』を公刊した。ほとんどの研究分担者がこれに寄稿し、これまでの会読と個別研究の成果を社会に問うた。
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Research Products
(28 results)