2005 Fiscal Year Annual Research Report
植民地体制下南米の異文化接触領域におけるキリスト教美術受容過程の学際的研究
Project/Area Number |
17320028
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
岡田 裕成 福井大学, 教育地域科学部, 助教授 (00243741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 晃 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 助教授 (20290926)
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Keywords | ラテンアメリカ / 植民地美術 / アンデス / ミッション / キリスト教美術 |
Research Abstract |
本研究の目的は、キリスト教美術を中心とするヨーロッパの図像表象文化が、南米アンデス高地およびアマゾン低地のスペイン植民地において先住民社会に移入され、受容されるなか、時に本来とは異なる意味や機能を獲得していったプロセスを、実地の作品調査に加えて、詳細な史料調査をおこなうことで、学際的な視点から明らかにしようとするものである。 この目的に基づき、研究代表者は、ラパス(ボリビア)の大司教区文書館、ラパス文書館において、チチカカ湖畔カラブコの教区聖堂建設に関わる史料を閲覧し、当地の先住民首長シニャニ家の同教会装飾の図像プログラムへの関与について調査をおこなった。また、アントウェルペン(ベルギー)にも出張し、スペイン植民地向けの典礼書を独占的に出版していたプランタン・モレトゥス印刷工房(現博物館)付属の図書室において、植民地時代に流通した典礼書挿絵について約600点の画像資料を収集した。 研究分担者は、ボリビア国立文書館(スクレ)およびアルゼンチン国立文書館(ブエノスアイレス)で調査を実施し、スペイン領南米の辺境地域のイエズス会ミッションにおいて、彫刻・絵画・建築・音楽・舞踏などが、先住民へのキリスト教宣教においてどのような役割を果たしたのかに関する史料の収集をおこなった。あわせて、コルドバ(アルゼンチン)の聖堂(大聖堂、コンパニーアなど)、リマ美術館(ペルー)などで、関連する作品の調査をおこなった。 以上、本年度は3年にわたる研究計画の初年度として、研究課題に関する基本的情報の収集に努めた。また同時に、その成果をもとに議論をおこない、アンデス高地及び低地ミッション地域において、現に流通したキリスト教図像を具体的に特定するとともに、その利用の実態についての史料面からの裏づけの可能性を検討した。
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Research Products
(2 results)