2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17320029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 俊春 Kyoto University, 文学研究科, 教授 (60198223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根立 研介 京都大学, 文学研究科, 教授 (10303794)
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Keywords | 展示 / 展覧会 / 美術 / 祝祭 / 絵画 / 彫刻 / 画家 / エフェメラル |
Research Abstract |
本研究で「つかのまの展示」と呼ぶのは、美術作品を通常の設置・保管場所から移動させて、別の場所で、一定の期間だけ、人々に実見の機会を与える特別の展示のことである。本研究では、特に、展覧会制度が確立する以前の前近代においてどのような様態の「つかのまの展示」が存在し、それがどのように人々に重要されていたのかを解明することを目指している。最終年度である本年度は、主として、1「美術作品のマーケティング戦略としての展示」、2「芸術家と公衆をつなぐものとしての展示」という二つの観点から研究を進める一方、これまでの研究の総括を行った。 1の問題に関しては、連携研究者である近畿大学文芸学部・准教授の平川佳世が、17世紀初頭、神聖ローマ皇帝ルドルフ二世の居城であるプラハ城で開催された美術品市「プラハ城パント」について、宮廷銅版画家サデレルの残した銅版画の分析や同時代の資料に基づいて、その実態解明およびプラハ城内における位置づけを試みる研究発表を行った。一方、2の問題については、連携研究者である関西学院大学文学部・教授の河上繁樹が、明徳2年(1391年)9月に足利義満が公家18人と春日大社へ参詣した折の様子を記録した『明徳二年室町殿春日詣記』等の分析に基づいて、公家行列の装束の全体像を再構成し、その文学的典拠の解明、および視覚的効果の分析を試みる研究発表を行った。 また、平川がドイツおよびイタリアにおいて「プラハ城パント」に関する資料収集を行い、中村がドイツにおいて「フェルディナンド親王の入市行進」に関する資料収集および在外研究者との意見交換を行った。加えて、最終年度に当たる本年度は、各共同研究者の研究成果である論文10本を収録した研究成果報告書『前近代における「つかのまの展示」研究』を刊行した。
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Research Products
(12 results)