2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17320031
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
加須屋 誠 Nara Women's University, 文学部, 准教授 (60221876)
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Keywords | 仏教 / 説話 / 説話画 |
Research Abstract |
わが国では古代中世期に掛幅形式の仏教説話画が多数制作された。しかし、従来それらについて十分な調査研究はなされていない。そこで本研究は、日本各地に遺る説話画現存遺品を網羅的に調査すること、そのデータを明確に整理分類すること、そこから得られた研究成果を体系的に公開することを通じて、これからの説話画研究の基礎を構築することを目指す。本科研三年目に当たる今年(平成19年度)は、以下の事項に当たった。 (1)個別作品調査…2007年6月より11月にかけて定期的に、財団法人大和文華館(奈良市学園南1丁目11番6号)所蔵の説話画作品の悉皆調査を行った。その際、撮影された写真データの一部は資料として「日本の仏教美術-祈りの形象-展」(同館にて2007年11月16日〜12月24日)にて一般公開。企画・展示を含めて同展の開催に協力した。 (2)データ整理…昨年度デジタル画像化した、兵庫県立歴史博物館開催「地獄」展に出陳された説話画作品の写真資料(約五千枚)をデータベース登録した。一昨年、昨年度分とあわせて、14962件のデータが既に登録済みであり、説話画データベースとしては世界に類のないものが完成しつつある。 (3)成果公開・…滋賀県大津市・聖衆来迎寺所蔵「六道絵」のカラー図版及び研究論文を収めた大型本の編集作業を急ピッチで進めた。その結果『国宝六道絵』(泉武夫氏、山本聡美氏と共著。中央公論美術出版)を2007年11月1日に刊行。当初、平成20年度刊行予定であった『掛幅説話画大成』の一巻に相当する本書を一早く刊行できた意義は大きい。残る巻についても、今後弛まず刊行に向けて努力する所存である。
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