2005 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における中国書画コレンションの形成に関する研究
Project/Area Number |
17320033
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
宮崎 法子 実践女子大学, 文学部, 教授 (20135601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 淳 東京国立博物館, 文化財部, 列品室長 (20227622)
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Keywords | 近代の中国書画コレクション / 鑑定と作品評価の変遷 / 日本伝来書画 / 清末の中国書画の移動 / 住友家コレクション / 岩崎家コレクション / 高島コレクション / 探幽縮図 |
Research Abstract |
代表者は、大正期から昭和初期の中国絵画の海外における所蔵と展覧会、所蔵の状況と、当時の日本における大型図録出版の状況を調査し、両者をつきあわせた年表作成作業に着手し継続中である。その成果の一部を近代に欧米の所蔵に帰した作品を中心に扱った論文「中国における女性表現-宮中図を中心に」に反映させた。また、近代における所蔵のひとつの核になった、日本伝来作品の来歴を知る上でも、また近代のコレクション形成を支えた作品評価や鑑定の基準となった江戸時代狩野派の鑑定を確認すべく、探幽縮図の調査もあわせて行った。特に縮図の一部を購入することが出来たため、公刊されていない新資料によって、夏珪画の伝来と評価の変遷を跡づけ、その成果の一部を使った論文を執筆中である。また、中国や日本の作品調査によって作品の特に近代における動きに関する資料を収集した。これらを時系列に並べ、そこに研究協力者の所属する特定の具体的なコレクションの個々の作品の伝来や所蔵の経緯についての共同調査結果を順次加える作業を行いつつある。これによって、伝来品と中国から新たにもたらされた作品の異動や、それらを評価や鑑定の変遷、研究や出版物また展覧会の開催などを、総合的に把握とその中での財閥系の二つのコレクションの形成の位置づけを目指すものである。研究協力者である泉屋博古館の実方葉子は、同館住友家のコレクション成立に関して、日本絵画を中心に下記論文まとめ、その成果の一部を発表した。靜嘉堂文庫美術館の小林優子は、2005年秋開催の「明清時代の絵画-中国五百年の筆墨と彩」展の準備作業を通じ、同館岩崎家の中国画コレクションの成立についての資料収集を行い、その成果の一部を同名展覧会カタログに反映させた。研究分担者は、今年1月開催の「書の至宝展」(東京国立博物館)の準備作業を通じ、中国の書の日本における受容について、特に近代に日本に入った名品とその伝来について、調査を行い、いくつかの新知見を得、その一部を図録所載論文「明清の書画を見つめた人々」として発表した。また、一方東博の中国画の中心的コレクションである高島コレクションについての調査研究を行い、徳富蘇峰あて高島菊次郎の書簡から、趙孟フの蘭亭十三跋の入手の経緯について新知見を得ると同時に、高島菊次郎氏の手控え帖の調査から、作品の入手時期や購入先など、具体的な事実関係をつきとめるなど、高島コレクション形成について、全体像の把握のための基礎作業を継続中である。
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Research Products
(4 results)