2006 Fiscal Year Annual Research Report
近代日本における中国書画コレンションの形成に関する研究
Project/Area Number |
17320033
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Research Institution | Jissen Women's University |
Principal Investigator |
宮崎 法子 実践女子大学, 文学部, 教授 (20135601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 淳 東京国立博物館, 文化財務, 列品室長(研究員) (20227622)
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Keywords | 槐安居コレクション / 岩崎家コレクション / 住友家コレクション / 桑名鉄城 / 近世以前の日本所在中国画 / 欧米の中国書画コレクター / 清末における文人と書画収集 / 作品付属品(箱書き、添え状) |
Research Abstract |
研究代表者は、今年度恒常的に、明治以降、日本や中国を訪れた、欧米のコレクターに関する資料を収集し、記録などを調査した。また、比較対象として台北故宮の所蔵品の調査を行った。さらに、近代以前のコレクション形成についても、近代へ継承されたものと、近代における変化を明らかにするために、近代以前の日本の中国画受容についても広く資料収集を行い、特に室町幕府のコレクションについての作品調査を継続した。これに関しては、以前に北京の学会で口頭発表した論文が「日本所在有関夏珪的資料」として刊行された。さらに、牧谿や日観など日本にのみ伝わる中国画を、徐渭や八大山人の作画と結びつけて考察し、2006年9月の南昌での八大山人国際学術研討会と11月のマカオでの徐渭・陳淳芸術国際学術研討会において口頭発表した。これらは、東アジアにおける中国画収集や伝来の歴史的な意味を、前近代から近代へ、そして東アジア全体の広がりと、さらに欧米のコレクターの動きをという要素を、時間軸と空間軸のなかで総合的にとらえるための付け石となる作業である。口頭発表の論文は、提出済みだが、中国の学会の通例として、出版時期は未定である。 研究分担者も、11月のマカオの国際研討会において、東博蔵の高島コレクション中の作品について発表をおこなった。また、北京図書館において関連資料調査を行った。一方、2004年来行っている東博、書道美術館、三井文庫美術館による3館合同の善本碑拓展の2回目が、2007年度4月から開催されるが、今回は特にコレクターを前面に出す企画となり、そのための調査研究を通じて、東博のコレクションのもととなり、近代における中国書画の中心的コレクターであった高島菊次郎氏のコレクション形成について、資料収集とその特色、時代性などの考察を行い、その成果を7月〜9月に東博東洋館で、「高島菊次郎氏寄贈中国書画-槐安居コレクション」にて公にする予定である。 研究協力者の静嘉堂文庫美術館の小林優子氏と、泉屋博古館の実方葉子氏は、精力的にそれぞれのコレクションの伝来に関する調査と関連資料調査を行い相当の成果を上げた。小林氏は、岩崎家のコレクションの多くと関わりのある大分の千原家関連資料や、同館蔵品の模本を書いた帆足杏雨に関する調査を行い、また、同館の所蔵品との関連から、マカオの徐渭陳淳展や台北故宮の展覧会調査を行った。静嘉堂文庫美術館の所蔵品にある王建章画の、江戸明治における受容について付属品などから伝来を考察し、論文「憧れの文人画家・・」を発表した。また実方氏は、住友家の中国書画コレクションの付属品調査を継続し、そのもととなった画家桑名鉄城の旧蔵品をアメリカ合衆国において調査した。その成果の一端は、「住友コレクションにみる中国書画鑑賞と収集の歴史〔資料編〕」として発表された。また、07年度にその本文編を発表予定である。
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Research Products
(3 results)