2005 Fiscal Year Annual Research Report
近世初期工芸にみる国際性-大航海時代の寄港地間における美術交流に関する研究
Project/Area Number |
17320036
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
日高 薫 国立歴史民俗博物館, 助教授 (80230944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 剛 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 助教授 (70210391)
荒川 正明 出光美術館, 主任学芸員 (70392884)
丸山 伸彦 武蔵大学, 人文学部, 教授 (90183623)
澤田 和人 国立歴史民俗博物館, 研究部, 助手 (80353374)
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Keywords | 南蛮 / 輸出漆器 / 東西交流 / 工芸 / 美術史 / 大航海時代 / 外来影響 / 貿易船 |
Research Abstract |
本研究は、近世工芸にみられる交流の実態を、西欧からの注文によって製作された輸出工芸品、国内向け工芸品に認められる外来影響、舶載品の受容の容態、意匠に見られる他者表象などの観点からとらえることを目的とする。従来の「東西(日本と西欧)」交流という枠組みにとらわれず、貿易船の停泊地周辺域で製作された諸美術工芸との関係性の中で、近世工芸を位置付けようとする点に特色がある。 平成17年度は、本研究組織による共同研究の初年度であったため、各専門分野の研究状況や視点を確認し合うことから始まった。工芸の諸分野の研究者が議論し合う機会は意外と少ないからである。 具体的な成果は、ピーボディ・エセックス博物館(アメリカ・セーラム)、ボストン美術館、イサベラ・スチュアート・ガードナー美術館(アメリカ・ボストン)の所蔵品の調査を行い、日本および他地域の多彩な輸出工芸の様相を概観したことである。 主要訪問先であったピーボディ・エセックス博物館においては、南蛮漆器をはじめとする輸出工芸品のほか、中国の輸出工芸(漆器・象牙細工・家具・陶磁器など)、南蛮漆器の様式に影響を与えたと推測されるインド・グジャラート製の螺鈿細工などを調査した。とくに、台座付螺鈿蒔絵書箪笥・キオスク型オラトリオ・衿用容器など近年知られるようになった珍しい南蛮漆器について、これらが当初からの形態か、あるいは後世の手が加わったものかどうかを確認することができたことは有意義であった。 あわせてモースコレクション中の漆器および陶磁器、染織品の調査も行い、所蔵機関の学芸員と意見を交換することができた。 平成18年度以降は、インド・東南アジア・中南米など、貿易船の寄港地周辺で制作された工芸との関係に重点をおいた調査を進める予定ある。
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Research Products
(4 results)