2005 Fiscal Year Annual Research Report
イスラーム・ガラスと中世および近世日本ガラスの比較研究
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17320037
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Research Institution | The Middle Eastern Culture Center in Japan |
Principal Investigator |
真道 洋子 (財)中近東文化センター, 学術局, 特別研究員 (50260146)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川床 睦夫 (財)中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (00260141)
中井 泉 東京理科大学, 理学部, 教授 (90155648)
井上 暁子 東海大学, 教養学部, 非常勤講師 (70425445)
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Keywords | ガラス / イスラーム / エジプト / 近世日本 / 江戸 / 風鈴 / 文化交流 / ステイン技法 |
Research Abstract |
イスラーム・ガラスに関しては、エジプト・ラーヤ遺跡出土ガラスに基づく編年研究の中で、最初紀にあたる8世紀の様式分類および化学組成の解明を行った。とくに、750年を境としてウマイヤ様式からアッバース様式への変遷の過程を明らかとするために、8世紀後半に着目した。その結果、ラーヤ遺跡においては、器形、組成の上でアッバース期に入ってもウマイヤ様式が存続していることが確認され、パレスティナ内陸部で見られたような急激な変化ではなく、緩やかな変化であったことが判明した。 また、エジプトおよびシリア地域からヴェネチアへの交易ルート解明を目的として、6月にクロアチア沿岸部における中世ガラスの分布調査を行った。とくに、ドブロブニク海洋博物館に所蔵されている沈没船から発見された9〜10世紀のガラス器の調査を行った。これらは、一連のガラス器がイスラーム・ガラスの強い影響を受けたビザンティン・ガラスであるとされており、イスラーム、ビザンティン、ヴェネチア間の交易実態の一端が明らかとされた。 日本のガラスに関しては、近世日本に焦点を絞り、戦国期における舶来ガラスの出土品の報告書とも埋蔵文化財センターなどへの問い合わせなどの情報収集と八王子城址出土のヴェネチア・ガラスなど、一部の出土品の実見調査を行った。これによって、戦国大名の居城を中心にイスラーム以降のヴェネチア・ガラスが日本に流入していた事実の再確認をし、今後本格的調査の礎とすることができた。 さらに、江戸後期の庶民生活の中に浸透したガラス製品を明らかとする目的で江戸風鈴、金魚玉、ぽっぺんを取り上げ、製品、文献、絵画の各資料の面からの検討を行った。さらに、篠原風鈴本舗の協力を得て、これらの復元研究も行った。その成果の一部は、2006年1月に行った中近東文化センター『ガラスの博物誌展』の一般展示「日本のガラス江戸から東京へ」の中で紹介をおこなった。
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Research Products
(13 results)