2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17320045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 洋二郎 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90134402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 啓二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70187722)
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Keywords | 仏文学 / 第三共和制 / 国家主義 / 宗教 / アナキズム / 越境 / ヨーロッパ文明 |
Research Abstract |
研究最終年度にあたる本年度は、過去3年間の調査と研究成果を踏まえ、研究全体の総括をおこなった。 まず研究代表者の石井洋二郎は、2008年10月に600ページに及ぶ著作『ロートレアモン越境と創造』を筑摩書房から刊行した。これは19世紀の詩人ロートレアモンの作品をその生涯とからめながら詳細に分析したもので、第三共和制下における彼の作品の発見・読み直しの経緯についても相当数のページが割かれており、当該分野の研究の進捗に大きく貢献した。なお、石井は本研究を博士論文として東京大学大学院総合文化研究科に提出し、2009年3月におこなわれた公開審査で博士号(学術)の授与を認められている。また、本書は平成20年度の第59回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞し、社会的にも高い評価を得た。 研究分担者の鈴木啓二は、フランス語論文Mimesis et imagination chez Baudelaireを発表したほか、第三共和制における文学と政治の関係、とりわけ1935年の世界作家会議に関する研究を進めた。 このほか、連携研究者の山田広昭(東京大学大学院総合文化研究科)は論文「アナキズムからファシズムへの変転-フランス・ドイツのゼネスト論の思想的系譜」を発表して第三共和制時代における政治と文学の関係を問い、同じく連携研究者の工藤庸子(放送大学文化科学研究科)は、著書『砂漠論-ヨーロッパ文明の彼方へ』(左右社)を刊行し、オリエントとの関係においてヨーロッパ文明の根拠を問い直す作業をおこなった。いずれも本研究の目的に沿った成果として重要な仕事である。 以上の4名に加え、本年度は東京大学に教務補佐員として勤務する鈴木順子が研究協力者として加わり、第三共和制下に生きた女性宗教思想家のシモーヌ・ヴェイユについての博士論文を執筆、まもなく正式に提出して審査を受ける予定である。
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