2005 Fiscal Year Annual Research Report
詩跡(歌枕)研究による中国文学史論再構築-詩跡の概念・機能・形成に関する研究-
Project/Area Number |
17320053
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
植木 久行 弘前大学, 人文学部, 教授 (20160153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 梁 弘前大学, 人文学部, 助教授 (20281909)
伊藤 守幸 学習院女子大学, 国際交流学部, 教授 (30132559)
松尾 幸忠 岐阜大学, 地域科学部, 助教授 (20209505)
許山 秀樹 静岡大学, 情報学部, 助教授 (10257230)
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Keywords | 詩跡 / 歌枕 / 俳枕 |
Research Abstract |
本年度は、3年間にわたる共同研究の、最初の年であるため、8月、研究会を開催して、研究の進展と体制固めを行った。研究の代表者、並びに分担者の発表題目は、以下のごとくである。植木「第1次中国詩跡調査の目的地とその意義」、李「文化景観としての詩跡-風景論の立場に基づいて-」、伊藤「平安朝物語に見る異境としての唐土(もろこし)」、松尾「『詩跡』の発見」、許山「杜牧と揚州」。また今回は、俳枕の研究者として早稲田大学名誉教授堀切実、詩跡の研究者として愛知淑徳大学教授寺尾剛の2氏を招いて、それぞれ「俳枕考」「地図に記載できない地名をどう扱うか?-架空詩跡の問題を中心として」を発表してもらった。各自の発表に対して、招待の研究者を交えて活発に議論し、詩跡・歌枕・俳枕の概念・機能・形成に対する知見を深めた。空想・未見の詩跡に対する認識、および俳枕の概念・形成に関する問題点も浮き彫りになった。 本年は最初の詩跡調査として、9月3日から10日間にわたって、江南地方の詩跡を集中的に実地調査した。この調査には、李・松尾・許山の3人も加わった。今回の主要な探訪地は、江蘇省鎮江市(潤州)→揚州市→安徽省〓州市→和県→馬鞍山市→当塗県→宣城市→南陵県→〓県→九華山→池州市である。この調査によって、詩跡の再建・復元に関する新しい知見が得られた。たとえば、鎮江市では王昌齢の詩にちなむ芙蓉楼が、本来の場所とは異なる金山公園内に造られていた。また揚州市では、大明寺の境内に九層の棲霊塔が再建され、観光産業に役立っていた。また本来、城外にあった二十四橋(1つの橋の名。本来の用法とは異なる)が、古典詩語の持つ高い知名度のために、痩西湖公園の中に組み込まれていたことなどである。この実地調査を踏まえた研究成果は、少しずつ「中国詩跡」と題して、ネット上でも公開し始めている。
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