2005 Fiscal Year Annual Research Report
話し言葉の理解における複合語処理の認知神経機構の解明
Project/Area Number |
17320064
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
酒井 弘 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50274030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮谷 真人 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (90200188)
中條 和光 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (90197632)
藤木 大介 広島大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (60403599)
小泉 政利 東北大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (10275597)
牧岡 省吾 大阪府立大学, 人間社会学部, 助教授 (60264785)
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Keywords | 心理言語学 / 認知心理学 / 言語神経科学 / 言語の生物学的基盤 / 非侵襲的活動能計測 / 国際研究者交流 / アメリカ / カナダ |
Research Abstract |
人間は話し言葉の理解過程において、極めて複雑な一連の言語情報を、一分間に数百語という驚異的なスピードで正確に処理することができる。高速な情報処理が可能なのは、入力される音韻・形態・統語・意味の各種情報を逐次的に処理して後続する要素を予測することで、計算のコストを軽減しているからだと考えられている。複合語は、動詞や名詞などの語彙範疇を助詞や助動詞などの機能範疇を介さずに直接組み合わせて形成されることから、音韻・形態・統語・意味の各種情報がすべて含まれる「最小の複雑な構造単位」であり、従ってこのような逐次処理(incremental processing)のメカニズムを解明するために最も優れた素材の一つだと考えられる。そこで本研究では、母語話者が音声提示された複合語を理解する過程でどのような逐次処理が遂行されているのか、その認知過程と神経基盤を明らかにする。 今年度は、複合語に固有の音韻的特徴である連濁やアクセントの一体化が逐次的な複合語処理においてどのような予測を生み出しているかを探る行動実験を実施し、母語話者は連濁の適用に関する音韻的制約を手がかりとした語彙処理を逐次的に遂行していると言う結果を得たため、研究成果を日本言語学会第131回大会において発表した。fMRIを使用した複合語処理を支える皮質構造を探る実験も平行的に実施し,複合語を処理する際には両半球側頭葉上側頭回の聴覚連合野に加えて左脳上側頭回前方と島回に強い活動が観察されることから、側頭葉上側頭回〜島回〜前頭葉下前頭回に、音声言語を処理するためのネットワークが存在する可能性が示された。研究成果を思考と言語研究会及びKIT International Symposium on Language and Brainにおいて発表し、学術誌「信学技法」にその一部を掲載した。
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[Journal Article] Priority Information Used for the Processing of Japanese Sentences : Thematic Roles, Case Particles or Grammatical Functions?2005
Author(s)
Tamaoka, K., Sakai, H., Kawahara, J., Miyaoka, Y., Lim, H.-J., Koizumi, M.
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Journal Title
Journal of Psycholinguistic Research 34
Pages: 281-332
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