2005 Fiscal Year Annual Research Report
非言語的視覚課題を中心とした漸進的文処理過程の言語間比較検討
Project/Area Number |
17320066
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
筧 一彦 中京大学, 情報科学部, 教授 (90262930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 英俊 中京大学, 情報科学部, 教授 (10134462)
広瀬 友紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50322095)
野村 理朗 東海女子大学, 人間関係学部, 講師 (60399011)
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Keywords | PWI法 / 命名潜時 / 統語的瞹昧性 / 統語構造 / 絵呈示 / 韻律情報 / 言語間比較 / 眼球運動測定 |
Research Abstract |
1)漸進的文処理過程をとらえる方法の一つとして、絵の命名課題の利用が可能かどうかについて予備的検討を進めた。まず文を対象とする検討に先立って、単語の聴覚呈示が絵の命名潜時にあたえる影響について検討した。この際、単に名詞のカテゴリー間の関係だけでなく、動作絵と動詞との意味的関係についても検討した。その結果品詞効果として動詞のほうが名詞より命名潜時が短い品詞効果及び名詞における連想効果が認められた。これらのPWI(Picture Word Interference)課題は英語、イタリア語などにおいてすでにデータがつまれているので、それらとの相互比較をおこなった。これらの検討を通じて、句や短文の処理にPWI法を適用することについてある程度の見通しを得た。 2)統語的瞹眛性を含む表現の処理における非言語的諸情報の役割に関して、言語産出時に呈示される視覚情報(指示物の特定可能性)を操作した各条件の発話データを得た。さらにこれらを材料として得られた知覚(構造解釈)実験結果によると、統語構造の区別に寄与しうる韻律情報の現れ方は、発声者に与えられる視覚的情報のタイプにより、量的のみならず質的にも異なることが示唆された。さらに、聞き手と話し手の利用する韻律情報の間にも質的な違いが認められた。また、視覚情報の利用のされ方は、第二言語学習者においては、学習言語の運用能力によって異なることもわかった。 3)漸進的文処理過程に関する情報を相補的にとらえる手段として、眼球運動測定装置を導入した。現在実験実施にむけての準備を進めている。また、上記のPWI実験を実施する環境を整備するため遮音ボックスを導入し、実験機器の設定を行った。
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