2008 Fiscal Year Annual Research Report
非言語的視覚課題を中心とした漸進的文処理過程の言語間比較検討
Project/Area Number |
17320066
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
筧 一彦 Chukyo University, 情報理工学部, 教授 (90262930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 友紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (50322095)
野村 理朗 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (60399011)
渡辺 真澄 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60285971)
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Keywords | PWI法 / 命名潜時 / 統語的曖昧性 / 前置詞付加位置 / 言語間比較 / 意味的距離 / 文法効果 / 脳活動 |
Research Abstract |
1)PWI (picture-word interference)実験により日本語は英、伊、蘭、独の各言語とは異なり、干渉語と提示される絵が同じ名詞のときに絵の命名に対する干渉が大きくなる文法効果が確認されていた。その要因として干渉語間の単語属性の差、絵と各種干渉語の意味的距離の差以外に干渉語(動詞)と絵(名詞)の組み合わせが、日本語では名詞句を形成するという特性が関与していることが推定された。単語属性、意味的距離を統制した実験でも日本語では文法効果が残ることを確認した上で、干渉語と絵の対が名詞句を形成する場合としない場合の干渉を調べる実験を行った結果、名詞句形成の有無は文法効果に関与しないことを示した2)英語の前置詞付加位置に関する曖昧性について、日本語を母語とする英語学習者が英語母語話者と違った処理傾向を示すことを、質問紙を及びアイトラッカーによるオンライン文処理過程の測定実験により示した。 3)日本語のWh文における作用域と韻律情報の関係について、産出時におけるマッピングと理解におけるそれが異なる方略によっていることを示し、その理論的根拠を検討した。 4)ポジティブ、ネガティブ、ニュートラル各3個の文脈条件のもとで感情的刺激を含む非言語的視覚条件3条件(ポジティブ、ネガティブ、ニュートラル)を提示し、脳活動計測実験を行った結果、ネガティブ文脈でのポジティブ視覚刺激提示において左側の前頭前野腹内側部(OFC)の活性化が確認された。左側OFCが文脈の検出に関与するというこの結果は、文処理過程におけるPWIなどの非言語的実験法の基礎的理解に役立つものである。
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