Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (00161993)
尾崎 喜光 大阪府立大学, 国立国語研究所・研究開発部門, 主任研究員 (10204190)
日高 水穂 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (80292358)
岸江 信介 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90271460)
西尾 純二 大阪府立大学, 人間社会学部, 講師 (60314340)
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Research Abstract |
古典語については,各時代の古典作品から配慮表現を,依頼・受諾・断りなどのテーマ別に各時代での分析が進められ,現代語においては,配慮表現の東西差,都市部と非都市部による違いといった地理的・社会的バラエティの存在を見出す作業を行った。これらは,計画当初どおりの成果であり,それぞれの成果は,3度にわたるシンポジウムやパネルセッションによって,極めて効果的に公開された。 明らかになったことの一つとして,対人配慮の言語行動の通時性と共時性とを関連させるものであり,日本が閉じられた社会から,開かれた社会に移行するにしたがって,対人配慮言語行動が発達したということがある。この移行的性質は,日本の非都市社会と都市社会の対人配慮言語行動にも通じるところがある。また,談話における対人配慮として,「察し合い」という行動原理が働いていることなどが明らかにされた。さらに,日本語の長い歴史のなかで,現代は言語媒体の多様化が著しく,それぞれの媒体に見合った対人配慮行動が形成されている。なかでも今回は,携帯メールでの対人配慮の行動様式に注目した。そして,携帯メールのやり取りの中では,「思いやりの連鎖」というべき現象が確認されるにいたった。 以上のような成果が,日本語の対人配慮コミュニケーションのみの特徴であるのか。この点については,対照研究による確認が待たれる。方法論的にも,研究対象としても,今後の研究課題を提示しつつ,4年間のプロジェクトを完遂することが出来た。
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