2008 Fiscal Year Annual Research Report
言語類型論と日英語:音韻、統語、意味、談話における類型論の総合的研究
Project/Area Number |
17320074
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 曜 Kobe University, 人文学研究科, 教授 (40245303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西光 義弘 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10031361)
窪園 晴夫 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (80153328)
岸本 秀樹 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10234220)
PARDESHI P.V. 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (00374984)
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Keywords | 言語類型論 / 日英比較 / 意味論 / 統語論 / 音韻論 / 移動動詞 / 他動性 |
Research Abstract |
今年度は、各分野における言語の類型に関する研究のまとめを行った。また、Kobe Conference on Language Typologyを開催し、内外の学者を交えて成果を発表し合う中で、類型の性質や各分野における類型の相関関係についても考察を行った。各分野における主な成果は以下の通りである。音韻論(窪薗):同一言語内に見られる類型論的な対立という観点から、日本語の2方言(鹿児島方言、甑島方言)のアクセントと音節・モーラの関係について調査分析を進め、東京方言と対比しながら考察を行った。甑島方言が鹿児島方言よりもモーラ性が高いこと、その一方で東京方言に類似した音節性を示すことを明らかにした。形式統語論(岸本):言語普遍性の観点から、日本語の諸特性について考察した。特に、「名詞句+動詞」の連鎖を持つイディオムとそれと同じ動詞が現れる通常の文との比較を行った結果,イディオムの構文は,通常の名詞句とは異なる配置をするものが多くあることが分かり,それに対する理論的な考察を行った。意味論(松本):日英語を含む移動動詞の比較研究をまとめた。特に、英語と日本語の移動表現の性質については、従来の移動の様態に関する考え方を修正する必要があることを、移動に関わる音象徴表現の研究から明らかにした。語用論(西光):従来から進めてきた、他動性に関する比較研究(英語、日本語、その他のアジアの言語に関するもの)をまとめた。また、類型の異なる言語の接触について考察し、言語接触の遍在性を、日本語の「ている」形の方言と標準語の接触を例に検討した。機能的統語論(プラシャント):南・中央・北東アジア諸語における複合動詞、マラーティ語の移動表現および他動性についての考察をもとに、言語の類型について考察を行った。当該現象に関して言語間に見られる類似点や相違点を明らかにし、統一的な説明を試みた。
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