2005 Fiscal Year Annual Research Report
在ベルリン・トルファン文書の比較史的分析による古代アジア律令制の研究
Project/Area Number |
17320096
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小口 雅史 法政大学, 文学部, 教授 (00177198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
關尾 史郎 新潟大学, 人文社会教育科学系, 教授 (70179331)
坂上 康俊 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (30162275)
大津 透 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (70194199)
丸山 裕美子 愛知県立大学, 文学部, 助教授 (00315863)
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Keywords | 吐魯番文書 / トルファン出土文書 / ル・コック将来文書 / ベルリントルファンコレクション / 断片文書データベース / 日唐律令制比較 / 高昌国・西州 / 戸籍計帳・課税文書・土地台帳 |
Research Abstract |
今年度は在ベルリンのトルファン漢文文書についての基礎データの収集に努めた。西脇常記・百済康義各氏のカタログと、研究代表者の小口雅史が在外研究の間に蓄積した調査カードをもとに、第一段階として、世俗文書か否かの分類を行い、抜萃された世俗文書については文書名・寸法といった書誌情報の確定と、さらに一部については釈読作業に入った。各分担者が、最重要と判断した文書については、断簡接続の可能性を探ったり難読文字の判定のために、実際にベルリンに赴いて確定作業を行った。また在ベルリン・トルファン・コレクションの全貌を正確に把握するために、文書を挟んでいるガラス板の補修を行いながら、全点撮影に取り組んだ。現在までのところ、ベルリン国立図書館架蔵文書のうち220点ほどの撮影が終わり、その高精度デジタル画像化も実施した。文書断片のサイズにもよるが、基本的には300DPI×300DPIの解像度でスライドスキャニングして、画像が劣化しないtif形式で保存している。ベルリン・インド芸術博物館所蔵文書については30点ほどを撮影してやはり同様に保管している。 これらの基礎データはFikeMaker V8で画像付のデータベース化し、ネット上でそのまま公開できる体制の準備に入っている。3月には、研究代表者の所属する法政大学国際日本学研究所のwindows2000サーバー上に置いたFileMaker Server Advanced 8を利用して試験公開に入った。ただし釈文については未登載。釈文中で再現すべき文字には、JISコードはもちろんのこと、UNICODEをもちいても表現できない文字が多々あり、今昔文字鏡その他の活用を含めて試行中である。 文書の内容にまで踏み込んでの分析は次年度以降の課題であるが、籍帳文書の日本との比較はすでに書式・書体の類似を含めて見通し的論考を発表することができた。次年度から各研究分担者の専門とする法制文書や経済文書、医学書などについても踏み込んだ分析ができる体制が、ほぼ順調に整ってきたと言える。
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