2007 Fiscal Year Annual Research Report
在ベルリン・トルファン文書の比較史的分析による古代アジア律令制の研究
Project/Area Number |
17320096
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小口 雅史 Hosei University, 文学部, 教授 (00177198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関尾 史郎 新潟大学, 人文社会教育科学系, 教授 (70179331)
坂上 康俊 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (30162275)
大津 透 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 准教授 (70194199)
丸山 裕美子 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00315863)
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Keywords | 吐魯番文書 / トゥルファン出土文書 / ル・コック将来文書 / ベルリントゥルファンコレクション / 断片文書データベース / 日唐律令制比較 / 高昌国・西州 / 戸籍計帳・課税文書・土地台帳 |
Research Abstract |
今年度は最終年度であり,過去2年間に蒐集した画像や実物に即した現地調査メモなどの基礎データを基に,そのほとんど全ての文書について,釈読と内容同定を一通り終えた。在ベルリンのトルファン漢文文書コレクションの内,世俗文書と認定されたものは413点となった。ただしなお一部検討を要するものが残されている。それらの成果は引き続きFileMaker8.5で画像付Databaseとして処理を続け,その有益な成果として断片相互の接続が新たに確認されるようになった。そこでDatabaseの構造に改造を加え,他断片との連続について明示的な項目を設けて,研究の便をはかった。これでDatabaseの枠構造は完成したことになる。その枠構造に,釈読の成果をPDFとテキストファイルとで埋め込み,当初よりの研究目的であった総合的な完全電子カタログが完成する。なお書式その他の細かいズレの調整が残されているため,全てのテキストの埋め込みにはなお若干の時間を要するが,予定通り順次,研究代表者が管理するサーバー上でFileMaker Server Advanced8.5により公開されている。またそれらと併行して内容同定が終わった古文書類を用いた西域-中国-日本をつなぐ古代アジア世界の比較律令学的研究も進められた。その詳細は別途刊行された研究報告書に詳しいが,とくに戸籍類の比較から,大宝律令以前にさかのぼる西域と日本の類似性,5世紀初めの北涼戸籍の分析による西域での戸口掌握方式や戸の実態の解明等に大きな成果を挙げた。また法制史料については,コレクション中では早くから知られていた吏部格について,それが太極散頒吏部格であることを解明したのは重要な成果である。また辺境における漢字文化の実態,あるいは東アジアにおける本草世界の確かな広がりの解明などについてもなしとげることができた。
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