2007 Fiscal Year Annual Research Report
近代中国における専制政治から立憲政治への移行と行政システムの変容
Project/Area Number |
17320109
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
曽田 三郎 Hiroshima University, 大学院・文学研究科, 教授 (40106779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 肇 下関市立大学, 経済学部, 教授 (70194917)
水羽 信男 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (50229712)
丸田 孝志 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (70299288)
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Keywords | 専制政治 / 立憲政治 / 中央行政システム / 地方行政システム |
Research Abstract |
本研究の目的は近代中国における専制政治から立憲政治への移行過程に着目し、清末から中華人民共和国成立期までの中国政治史・政治論の再構成を図ることにある。本年度は役割分担に基づいて、研究代表者である曽田三郎は、中華民国初期における憲法案起草と憲政導入準備のための行政改革について資料の収集・分析と研究を進め、有賀長雄等の外国人法制顧問の憲法案起草への関与の実態と、彼らの独創的な地方行政制度構想を明らかにすることができた。研究分担者である金子肇と水羽信男は、中華民国の北京政府期から国民政府期にかけての憲政・憲政論と行政システムの変容の解明を担当し、金子は国民政府期の立法院に関する資料の収集と分析を進め、特に47年憲法体制下における立法院の活動と国共内戦下の国民党統治体制への影響を明らかにした。水羽は「自由主義」の観点から孫文の政治論を分析し、中国および日本の知識人の言論と比較することで、その特質を解明した。同じく研究分担者である丸田孝志は中国共産党統治下の地域における行政に着目し、糞魯豫辺区に関する共産党の文書を分析することによって、抗日戦争から内戦期にかけての同区の基層行政組織と各種の秘密結社との関係を明らかにした。それぞれの成果は、広島での研究打ち合わせ会で報告して相互の批評を行うとともに、研究代表者である曽田が全体の関連付けと総括の作業を行った。また本年度は、北京大学の茅海建教授の協力を得て、同大学歴史学系において研究成果の報告を行い、中国近現代史担当の多数の教員から貴重な批評とアドバイ客を得ることができた。以上のような実績をふまえて、研究計画の最終年度にあたる来年度は、残された課題についてそれぞれの研究を進めるとともに、近代中国の憲政と行政システムという観点から全体のとりまとめを行いたい。
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Research Products
(8 results)