2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本列島北部の更新世/完新世移行期における居住形態と文化形成に関する研究
Project/Area Number |
17320121
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 宏之 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (50292743)
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Keywords | 考古学 / 先史学 / 生態学 / 更新世 / 居住形態 / 旧石器時代 |
Research Abstract |
更新世/完新世移行期は、地球規模で見られる氷期から現世にかけての気候・自然環境の大変動期にあだり、同時に人類文化・社会の一大画期に相当する。日本列島もその例外ではないが、北海道を中心とする北部地域と本州以南の地域では、その移行期に時間的なズレがあり、文化的内容も異なる。本研究は、当該地域の自然環境.・年代データを蓄積し、人類活動の展開と総合することにより、その具体的な実態を明らかにすることを目的とした。研究は主として、4度の公開シンポジウムの開催、既存考古・自然環境データの解析、核心的遺跡の発掘調査(2箇所)、既存資料の再整理の4点から実施した。その結果、本州以南では,1万年前の完新世初頭では、すでに温暖湿潤な安定した気候環境に推移し、同時に今日の動植物相への移行を完了していたのに対して、北海道ではこの移行が遅れ、8000年前の縄文時代早期中葉に完成する。そのため考古学的な文化の移行の様相も異なり、本州以南では、15000年前に縄文時代が開始され、更新世末期の晩氷期を通じて草創期の土器文化が継続し、完新世初頭で縄文早期に移行するが、対照的に北海道では、晩氷期も後期旧石器時代と同様の細石刃文化が継続し、完新世初頭には遺跡がほぼなくなり、8000年前になってやっと縄文早期の土器文化が登場することがわかちた。つまり、本州以南では、いち早く縄文型の定着・定住生活が開始されるが、一方北海道では、8000年前まで旧石器的な遊動型の生活行動が続いていたことを示している。これらの成果は、4冊のシンポジウム論集と1冊の研究書の公刊として公開した。
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Research Products
(12 results)