2006 Fiscal Year Annual Research Report
弥生時代における北部九州と朝鮮半島における交流史の考古学的研究
Project/Area Number |
17320125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 一夫 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60174207)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良之 九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 教授 (50128047)
岩永 省三 九州大学, 総合研究博物館, 教授 (40150065)
溝口 孝司 九州大学, 大学院比較社会文化研究院, 助教授 (80264109)
辻田 淳一郎 九州大学, 人文科学研究院, 講師 (50372751)
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Keywords | カラカミ遺跡 / 壱岐 / 対外交流史 / 弥生時代 / 環濠集落 / 先史漁撈 / 東亜考古学会 / プラント・オパール分析 |
Research Abstract |
1952年の東亜考古学会発掘調査第1地点トレンチを昨年度調査で明らかにしたが、今次発掘調査ではその地点を中心に再発掘を行った。これにより東亜考古学会調査地点の全貌が明らかとなったとともに、その一部が環濠部分に相当していたことが明らかとなった。東亜考古学会第1トレチのb・cグリッドとh・iグリッドでは多量の土器が出土していたが、これが環濠に相当していたことが明らかになった。さらに今次調査では、環濠内に多量の土器が廃棄されていたことが明らかとなった。廃棄時期は弥生中期の須玖皿式段階であると判断される。環濠は弥生中期の須玖1式段階に掘削され、一度弥生中期末の須玖式II式段階に埋められて後、弥生後期段階に再掘削され弥生終末ないし古墳時代初頭に廃棄されたものであると判断される。また、環濠内の埋積状況から環濠内側に土累状の高まりがあったことが想定される。その土累の内側に集落が広がっていたと判断される。今後はその方面の発掘調査を行わなければならない。 環濠内には埋土内に混貝土層があり、これが嘗てこの地点を辻屋敷貝塚と呼んだ理由であることが判明した。混貝土層を中心に自然遺物が多量に発見され、当時の古環境や食性が判明するものと思われ、現在分析中である。また、環濠土層内の水洗浮遊選別法によって麦や米を発見した。特に麦が多いことが明らかになり、この状況は壱岐の弥生時代の特徴をなす。また環濠土層断面から採集した試料によりプラント・オパール分析を行ったが、この結果も多量の麦と米が検出されている。弥生時代の壱岐においては、麦を中心とする農耕が盛んであったことが明らかとなった。プラント・オパール分析に関しては、古環境研究所に分析を依頼した。
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