2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17320129
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
橋本 裕行 奈良県立橿原考古学研究所, 研究企画交流チーム, 総括研究員 (80270776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入倉 徳裕 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課, 主任研究員 (30203342)
卜部 行弘 奈良県立橿原考古学研究所, 附属博物館, 主任学芸員 (70260370)
大西 貴夫 奈良県立橿原考古学研究所, 附属博物館, 主任学芸員 (80260371)
椙山 林継 國學院大學, 神道文化学部, 教授 (90158973)
茂木 雅博 茨城大学, 人文学部, 教授 (70134161)
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Keywords | 吉野山南部遺跡群 / 上岩倉遺跡の測量調査 / 大峰山寺戸開式 / 信濃戸隠 / 土佐横倉山 / 淡路諭鶴羽山 / 山岳信仰遺跡出土遺物の集成 |
Research Abstract |
a.吉野山南部遺跡群の基礎調査:白河院宝塔跡伝承地である上岩倉遺跡の測量調査およびその周辺の再踏査を実施。上岩倉遺跡事前踏査で南面する同一尾根斜面上に4つの平坦面を確認していたが、今年度周辺部悉皆踏査によって、谷を隔てた東側の2ヶ所に大規模な平坦面が存在することを新たに確認。既知の平坦面群をA地区、今回確認した平坦両群を西から順にB・C地区と呼称。今年度は、A・B地区の地形測量を実施。対象面積は11,240m^2、比高35mを測る。 A地区は5つの平坦面によって構成される。このうち最も広い平坦面1に基壇上の高まりがあり、それが宝塔基壇と目される。A・B地区間の谷部にも平坦面がある。B地区は広い平坦面1とその東側を画する尾根上に存在する2つの小規模な平坦面によって構成される。C地区はB地区とほぼ同じ構成であるが、東側尾根上に存在する平坦面は1ヶ所のみである。C地区については、来年度追加測量調査を実施する予定。なお、この測量中にA地区東斜面、B地区南西斜面に大量の遺物が散布していることを確認。それらの中には、黒色土器A類・「て」字状口縁土師器皿・二段ナデロ縁土師器皿・瓦器椀などの破片が含まれており、平坦面が10〜12世紀代に利用されていたことが判明し、文献や伝承と齟齬をきたさないことが確認できた。また、A地区平坦面4から須恵器甕胴部破片が採取されたので、上限は8世紀末から9世紀前半に遡る可能性が高い。なお、来年度の測量の準備として金勝坊跡に基準点を打設した(業者委託)。 b.国内外における山岳信仰遺跡の踏査:大和山上ヶ岳(大峰山寺戸開式)、安房鋸山、信濃戸隠、土佐横倉山、淡路諭鶴羽山・先山、出雲大船山(予備踏査)等の踏査を実施した。桐原健氏から戸隠総合詞査の際の貴重な記録を御提供頂いた。諭鶴羽山山頂で古代から中世にかけての大規模な遺物包含層を確認した。 c.山岳信仰遺跡出土遺物の集成と検討:各地の山岳信仰遺跡出土遺物の集成とデータベース作成に着手した。
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