2008 Fiscal Year Annual Research Report
「仕事」の多様性と変容に関する人類学的研究-ジェンダー視点による国際比較
Project/Area Number |
17320139
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中谷 文美 Okayama University, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (90288697)
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Keywords | 仕事概念 / ジェンダー / ワークスタイルの多様化 / 文化人類学 / オランダ:イタリア:マン-シア:ブルガリア |
Research Abstract |
今年度は最終年度であるため、個別調査は実施せず、成果のとりまとめに向け、本研究課題と密接なつながりを持つ二つの学会において口頭発表を行った。 1.日本文化人類学会第42回研究大会(5月31日〜6月1日、於・京都大学)において、分科会「<仕事の人類学〉が拓く地平一労働・ジェンダー・社会変容」を開催し、中谷文美(研究代表者)、宇田川妙子(連携研究者)、石川登(連携研究者)、松前もゆる(研究協力者)が発表を行った。 この分科会には外部コメンテーターとして、姫岡とし子氏(筑波大学教授)を招き、ヨーロッパの労働・家族史を背景とする専門的見地からのコメント・助言を仰いだ。 2.アメリカ人類学会(Association of American Anthropologists)第107回年次大会(2008年11月19日〜23日、於・サンフランシスコ)において、中谷文美が個入発表を行った。「仕事の人類学セクション」(Society for Anthropology of Work)の主催によるセッション内での発表であり、労働入類学の専門家であるJim Weil氏にコメントを仰いだ。 3.これまでの研究成果を振り返る総括的議論を2009年10月25日に実施した。 過去4年間の個別調査を踏まえた研究会における議論や学会での成果発表を通じて明らかになったことは、文化人類学の手法と経験を生かして「仕事」や「働くこと」の実情や社会的評価にアプローチすることにより、従来の労働研究を席巻してきた市場中心主義的労働観の相対化の道が拓かれ、より豊かで多様な労働観の提示が可能になるということである。とくに本研究の枠組みの中では、各調査対象地での労働や仕事にかかわる語彙の収集と分析を通じて、当該社会特有の労働観やその変容を明らかにすることに務めたが、さらに「労働の場所」の変化の重要性や、男性労働者を取り巻く状況について従来のような「一般労働者」という枠組みではとらえきれない側面にさらに注目する必要性が浮かび上がってきた。 なお、本研究は研究協力者1名を含む5名から成る小規模の研究組織であったが、さらに多くの地域を対象に加え、さまざまな角度からこのテーマを追求するため、国立民族学博物館主催による共同研究として応募したところ、「ジェンダー視点による<仕事>の文化人類学的研究」として採用された。平成20年10月より、総勢12名(21年度からは15名)の共同研究プロジェクトとして取り組みを継続する。
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Research Products
(17 results)