2005 Fiscal Year Annual Research Report
協働型社会構想における都市内分権ないしコミュニティ政策の法社会学的国際比較研究
Project/Area Number |
17330002
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
名和田 是彦 法政大学, 法学部, 教授 (30164510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 章宏 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70185429)
宗野 隆俊 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (60324563)
羽貝 正美 首都大学東京, 都市科学研究科, 教授 (60208410)
高村 学人 東京都立大学, 法学部, 助教授 (80302785)
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Keywords | 基礎法学 / コミュニティ / 協働 / 都市内分権 / 公共 |
Research Abstract |
初年度として、外国の予備的な調査と合宿研究会を通ずる情報と関心の共有を主として行なった。協働型社会構想においては、公共サービスの組織と提供を民間に委ねることが主眼になっており、都市内分権もその文脈において大いに変容しているが、それにもかかわらず公共的意志決定を身近にする制度としての都市内分権の側面も残るのであり、それどころか協働による公共サービスの組織と提供のもとで新たな意味を与えられていくのであるから、引き続きこの側面にも着眼して都市内分権の実証的研究を行なっていくべきことが確認された。 この観点から、日本においては、主として神戸市及び横浜市のコミュニティの動向の調査を行なった。 イギリス、フランス、アメリカ、ドイツについても、分担して予備的な調査を行なった。ドイツについては、担当の名和田は、既に何度もドイツにおいてコミュニティ調査を行なっており、本研究課題において新たな飛躍を得るために、ドイツからコミュニティ・レベルのアクターを日本に招聘して、日本のコミュニティを共同視察し、彼我の地域社会の状況についての意見交換をするという試みを行ない、十分な成果を挙げることができたと感じている。 本研究は、「いわゆる近隣政府ないし都市内分権制度と基礎地域組織との関係に関する法社会学的研究」と題する平成14年度から16年度にかけての科学研究費補助金による共同研究(研究代表者・名和田、基盤研究(B)、課題番号14320004)を実質的に引き継ぐものであり、研究分担者もほぼ継続しているが、新しい研究課題のもとで、あらためて日本とそれぞれの担当国の調査内容を共有して、それぞれの問題関心も深化してきており、またフィールド調査もより濃密なものとなっている。高村は、フランスの都市内分権制度のパリにおける実態をより深く調査することによって、福祉国家統合が当初見込んだよりも揺らいでいることに気付きつつあり、また宗野は、アメリカの近隣政府論のもつ政治思想的側面と地域社会レベルの政治闘争の表現としての政治史的側面とにより強い注意が必要であると気付きつつある。また名和田も、ドイツの農村における小規模自治体も視野に入れて、ドイツの地方自治制度のもつコミュニティ保障的側面に注目する必要に気付き、これに理論的表現を与えることを課題としつつある。 これらの外国以外にも、特にアジアにおいてコミュニティの比較研究の端緒を開くことが課題であったが、当初予定していた韓国調査は実現しなかったものの、伊藤和歌子氏(法政大学政治学研究科博士後期課程院生)の多大の協力を得て、中国の街道弁事処、社区、居民委員会の実態について専門的知識を得、アジア地域との比較研究の基礎を築くことができた。
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Research Products
(5 results)