2006 Fiscal Year Annual Research Report
協働型社会構想における都市内分権ないしコミュニティ政策の法社会学的国際比較研究
Project/Area Number |
17330002
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
名和田 是彦 法政大学, 法学部, 教授 (30164510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 章宏 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70185429)
羽貝 正美 首都大学東京, 都市科学研究科, 教授 (60208410)
宗野 隆俊 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (60324563)
高村 学人 東京都立大学, 法学部, 助教授 (80302785)
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Keywords | 基礎法学 / コミュニティ / 協働 / 都市内分権 / 公共 |
Research Abstract |
3カ年の研究課題の半ばの年度として、きわめて実りが豊かであった。 まず、日本において地域自治区制度が法制化されてそろそろ実際の注目すべき動きが出てきており、これを上越市と宮崎市について実態調査することができた。前者は合併対応として旧町村に公共的意志決定のまとまりを存置することに主眼があるのに対して、後者はコミュニティの制度化として機能しているという、興味深い差異が認められた。外国調査においては、アメリカ、フランス、ドイツ、スコットランドについて研究分担者ないし研究協力者が渡航して、実態調査を行ない、もっとも身近な地域的まとまりよりやや広域のレベルで、しかし市町村よりは狭いまとまりが、都市内分権や民間団体(アメリカのCDC)によってガバナンスの単位とされている様が、いよいよ明確になってきた。 さらに研究協力者として法政大学法学部政治学科の宮崎伸充氏にイングランドに渡航して、地域消防を題材に、コミュニティの現況を調査していただいたのも、本研究課題遂行に資するところ大であった。 本研究課題は、アジアにも視野を広げた比較研究に着手することを大きな課題としていたが、今年度はフィリピンを研究している荒木千晴(法政大学政治学研究科博士後期課程)という研究協力者を得て、大いに進展した。フィリピンでは、基礎自治体としての市町村(この言い方の理論的裏付けは今後十分に検討していかなければならないが)の下に「バランガイ」という自治体を位置づけており、バランガイはその下にいくつかの「ブロック」というもっとも身近な地域的まとまり(これは制度的には位置づけられていない)をしたがえながら、基本的なコミュニティ経営の単位として機能している。ここでも、市町村よりは狭いが、もっとも身近な地域的まとまりよりは広い単位が、制度化されて機能している。 このほか、今年度は、横浜市港南区の市民活動の定点観測的調査を継続して、日本における「協働」の実態を観察し、また沖縄の竹富町の調査も行なった。 共同研究としては、来年度に法社会学会で報告(ミニシンポジウムとして一つのセッションを主催)、さらには成果の出版を計画しており、その具体的計画をほぼ固めたことは、今年度の大きな成果であった。
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Research Products
(7 results)