2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17330005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青柳 幸一 筑波大学, 大学院ビジネス科学研究科, 教授 (50150941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 静雄 筑波大学, 大学院ビジネス科学研究科, 教授 (30190094)
藤井 樹也 筑波大学, 大学院ビジネス科学研究科, 助教授 (20273344)
渡井 理佳子 日本大学, 大学院法務研究科, 助教授 (40386090)
小宮 信夫 立正大学, 文学部, 教授 (60339603)
井上 禎男 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 助教授 (50346748)
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Keywords | 安全および予防 / 先端科学技術 / 人間の尊厳 / 生命権 / 生命倫理 / ユビキタス社会 / 個人情報保護 / 情報公開 |
Research Abstract |
1.先端科学技術と人間の尊厳・生命権 (1)胚の地位をめぐる議論のなかで、ドイツ「人間の尊厳」論が揺らいでいる。抽象的レベルでのコンセンサス(絶対的保障)さえも揺らいでいる。青柳は、先端科学技術の進展が惹起したこの「ゆらぎ」をカントにさかのぼって根源的に検討し、あらたな人間観、あらたな尊厳感の構築を目指す。 (2)フランスでの在外調査(2007年1月)に基づいて、2003年フランス生命倫理法改正をめぐる諸問題を中心として、青柳が、研究会で報告した。種としての人間の尊厳の保障と、今日の医学では不治の病を治療可能なものにするための研究の必要性との狭間で、唯一の正しい解答のない、hard caseに直面している。 (3)先端科学技術がもたらす問題を尊厳談で解決を図ることの困難さから、青柳は、生命権の問題として捉えることを提唱し、日本国憲法13条後段をめぐる従来の議論に新たな光をあてる。 2.安全・予防の公法理論と政策論 (1)犯罪防止のための政策論研究が、とりわけ小宮教授によって進められており、安全マップの作成を指導するなど、実践的な活動も行なっている。 (2)テロ行為に対する対処のひとつとして、資金源を断つ意味で、銀行規制が行なわれつつある。この問題については、渡井助教授が、理論的および実証的研究をすすめている。 3.ユビキタス社会と情報 (1)IT化社会のなかで、個人情報の漏洩事件は頻発している。他方で、個人情報の秘密化のなかで、公開すべき性質の情報が「個人情報」であるという理由で秘匿される、「過剰反応」も見られる。藤原教授が、ある意味相反する二つの現象について、問題を分析し、実践的な対処を提案する。 (2)IT化社会は、便利さとともに、人権侵害問題を惹起している。ITの特性が、新たに生み出す差別と人権の問題を、藤井助教授が明らかにする。
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