2006 Fiscal Year Annual Research Report
就業形態の多様化と労災補償制度についての日欧比較法研究
Project/Area Number |
17330011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 健一郎 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (00025157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村中 孝史 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (80210053)
皆川 宏之 千葉大学, 法経学部, 助教授 (50375606)
稲森 公嘉 京都大学, 大学院法学研究科, 助教授 (20346042)
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Keywords | 労災補償 / 労災保険 / 就業形態の多様化 / ドイツ / フランス |
Research Abstract |
わが国の労災保険制度に、比較法的な観点で従来、重要な役割を果たしてきたドイツ法を深く研究・検討するという観点から、日独シンポジウムを企画した。ドイツの労災保険は、労災補償という点で、わが国と共通する側面が多いが、事業主の業種別の団体である労災保険組合によって自治的に運営されているという点、また、労災保険の公的給付によって、使用者の私法上の損害賠償責任が大幅に排除・免責されているという点で、わが国と異なっている。今回のシンポジウムでは、ドイツの社会保障法・労災補償法の研究者3人(前マックスプランク国際社会法研究所所長・マイデル教授、マックスプランク研究所国際社会法研究所所長・ベッカー教授、ドイツ労災保険団体連合会研究員・クラーニッヒ博士)を京都に招いて、村中教授の司会で行われた。日本側から、西村(「わが国の労災保険の状況と課題」)、稲森(「日本の労災保険給付-特に医学的リハビリテーションの課題」)、皆川(「わが国の労災保険の適用一労働者概念」)が、それぞれ上記の報告を行うとともに、ドイツ側からは、クラーニッヒ博士が「ドイツの法状況」を、ベッカー教授が「労災保険者の組織変動」を、マイデル教授が「ドイツ労災保険における給付-特に予防の課題」をそれぞれ報告した。その後、質疑・意見交換を行うとともに、わが国の実際の状況を知るために、岡山労災病院を見学し、労災患者のリハビリテーションがどのように行われているかについて、ヒアリングと意見交換を行った。2007年度には、ドイツで、残された労災補償の諸課題(通勤災害の補償、業務関連疾患の労災認定、労災保険の財政-特に年金の積み立て等)について、さらにシンポジウムを行い2006年度の成果とあわせて、他の国の研究をも含めて研究を総括する予定である。
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