2007 Fiscal Year Annual Research Report
就業形態の多様化と労災補償制度についての日欧比較法研究
Project/Area Number |
17330011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 健一郎 Kyoto University, 大学院・法学研究科, 教授 (00025157)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村中 孝史 京都大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80210053)
皆川 宏之 千葉大学, 法経学部, 准教授 (50375606)
高畠 淳子 京都産業大学, 法学部, 准教授 (50351268)
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Keywords | 労災補償 / 労災保険 / 就業形態の多様化 / ドイツ / オーストリア / フランス |
Research Abstract |
本年度は研究の最終年度にあたるため、補充的な調査や検討を行うとともに、総括の作業を行った。具体的には、ウィーン大学のマーツァール教授が9月に来日した際に、ヨーロッパにおける労災補償に関する議論について補充的な議論を行うとともに、西村と村中がミュンヘンのマックスプランク社会法研究所において開催された日独労災補償比較法シンポで報告を行うとともに、討論を行った。これらの成果を基礎に、研究成果報告書をまとめた。内容面に言及するならば、日本とヨーロッパの比較において、日本の労災補償がその補償範囲において高水準にあること、それだけに日本法においては、補償範囲の画定作業をより明確にする必要があること、保険料負担の正当性に関する議論を今後深める必要が大きいこと、他の社会保障制度とのリンクを図る必要性が大きいことなどが解明された。これらの課題は引き続き検討すべき問題であり、とりわけ社会保障法や労働法の分野において生活保障という観点から、あらためて問題をとらえ直す必要がある。その際、現代社会において労働者、あるいは国民がおかれた具体的状況に目を向けるとするならば、個人ではなく、家族や生活単位の中で生活する労働者というとらえ方をした上で議論を行う必要があり、今後はこのような視点に立って研究を継続する予定である。
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