Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩原 紳作 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (20107486)
山下 友信 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (10107485)
神作 裕之 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (70186162)
藤田 友敬 東京大学, 大学院法学政治学研究科, 教授 (80209064)
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Research Abstract |
研究2年度である本年度は,研究計画に従い,研究分担に則り個別の研究を進めたほか,主としてイギリスおよびEUを中心とする海外の消費者信用法制の改正動向について引き続き調査を進める一方,日本における消費者金融の領域でなされた法改正の背景と内容を探った。 イギリスでは,2006年に,消費者信用法が改正され,2007年4月6日に施行の予定である。とくに,「暴利的な信用取引(extortionate credit bargains)」概念の廃棄と「不公正な関係(unfair relationship)」概念の創設に焦点を当て,従来,裁判所が「暴利的な信用取引」概念を積極的に運用してこなかったこと,「不公正な関係」という関係的概念を用いて,今後はより柔軟かつ積極的に不当な信用供与の規制を行おうとしていることを明らかにした。「不公正な関係」については,公正取引庁(OFT)のガイダンスが重要な役割を果たすであろうと予測されており,「契約条項」,「金利および手数料」,「事業の実態」等6項目に分けて策定されているガイダンスの内容を分析した。イギリス法は大きな展開を見せたのに対し,EUレベルにおける消費者信用指令の改正作業は滞っている。2005年10月7日に欧州委員会は「消費者信用に関する加盟国の法令を調和するための欧州議会および理事会の指令のための第2次修正提案」を公表し,2006年中の成立を目指したものの,今日まで進展が見られない。個人信用情報の位置づけ,業者の適正与信義務など,EU指令の見直しが膠着状態に陥っている真の理由は何であるのか,現在のところ結論は出せなかった。次年度以降の課題である。 日本では,物品・サービスの移転を伴わない消費者金融の分野で,大きな法改正がなされた。本研究の問題意識からすれば,物品やサービスの移転を伴う割賦販売等の領域にもインパクトを及ぼすことは必須であり,これらの法改正がどのような立法事実により行われたのか,改正法の内容等について,研究を進めた。
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