Research Abstract |
本年度は、本研究の最終年度にあたるため,これまでの研究をとりまとめ,成果を公表することに注力した。折から,金融危機に端を発した経済危機の中で,消費者信用市場およびそれに対する規制のあり方が世界的な関心事となり,日本においても消費者信用法制の中心の一つである割賦販売法制が大きく改正された。 第1に,比較法的な観点から,とくに,アメリカ,イギリスおよびEUの消費者信用法制についての調査研究をまとめ,日本法と異なり物・サニビスの販売に伴う消費者信用か純粋な金銭消費貸借契約かどうかで区別することなく,機能的かつ横断的な規律を行つていることが明ちかとなった。とくに,2008年に異例といわれるほど紛糾したうえで成立したEU消費者信用契約指令ほ,市場め機能と限界を踏まえ,市場法的な観点からこの問題にアプローチするものであり,日本法にとっても示唆的である。とりわけ,市場法的な観点からは信用情報機関が重要な役割を占めることが確認され,この分野でもっとも進んだ法規制を有するアメリカ法を研究した。 第2に,2008年改正割賦販売法の目的,背景,規制の考え方および解釈論上の論点と将来の課題について,先駆的な研究を行い,公表した。 第3に,消費者信用規制についてなぜ民事法・業法および市場法の観点から多角的にアプローチする必要があるのかについて,経済学の分野における実証研究等を参照にしなガら,理論的・基礎的考察を行った。 第4に,多様な観点から規制するとしても法規制には限界があること,それと補完協力するものとして百主規制などソフトローに一定の意義があり得ること,およびハードローとソフトローの関係等について,理論的検討を行い,公表した。
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