2005 Fiscal Year Annual Research Report
世界現象としての「ポピュリズム」? - グローバル化との関連を中心に
Project/Area Number |
17330028
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
木村 幹 神戸大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (50253290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大嶽 秀夫 京都大学, 法学研究科, 教授 (40083563)
下斗米 伸夫 法政大学, 法学部, 教授 (80112986)
山田 真裕 関西学院大学, 法学部, 教授 (40260468)
松本 充豊 長崎外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00335415)
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Keywords | ポピュリズム / ナショナリズム / グローバル化 / 政治変動 / 日本 / 韓国 / ロシア / 台湾 |
Research Abstract |
平成17年度は、都合、三回の研究会を行い、研究代表者の木村幹、研究分担者の山田真裕、及び、海外研究協力者の姜明世(以上第一回会合)、下斗米伸夫(第二回会合)、松本充豊(第三回会合)が、それぞれ報告を行った。それによって得られた新たな知見は以下の通りである。 1.各国(日本、韓国、ロシア、台湾)における「ポピュリズム」に関る情報の確認 2.各国における「ポピュリズム」と呼ばれる現象の多様性、「ポピュリズム」概念自身の多義性 3.共有される背景としての冷戦の終焉、及び、グローバル化の結果としての、旧エリートの威信失墜 その成果は具体的には次のようなものになる。 現在の世界各国における「ポピュリズム」的政治状況に共通しているのは、第二次世界大戦以後、冷戦下で安定して存在してきた各国の支配エリートが、冷戦崩壊とグローバル化の中、政治的威信を失墜する中で、出現した、ということである。重要なことは、このような各国においては、旧エリートの威信失墜が、直ちに、新たな明確な形でのエリートの出現へと導かれることなく、一時的に、特定の政治的リーダーの個人的人気に依存する状況を齎していることである。この意味において、ポピュリズム現象は、旧体制が崩壊し新たなる体制へと移行する際の過渡的現象であるということができる。 しかしながら、そのことは、それではこれらの体制が一時的なものであり、早期に収束することを意味しない。何故ならば、今日の世界においては、各国の政治は、冷戦期のような明確な役割と位置を与えられておらず、加えて、甞ての社会主義に匹敵するような、大きな影響を有するイデオロギーも存在しない。また、旧エリートの威信失墜が、社会の末端にまで及んだ場合には、制度構築に一定以上の時間を必要とすることになる。
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Research Products
(9 results)