2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17330053
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 章 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (30317309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 哲央 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (60163896)
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Keywords | 経済政策 / 経済理論 / エネルギー全般 / 環境政策 / 地球温暖化ガス排出削減 |
Research Abstract |
本研究の目的は、気候変動抑制経済政策の脈絡で、政策手段の包括的な組み合わせについて経済分析を行うことである。一般に、気候変動抑制政策は(1)強制的方法(直接規制)、(2)経済的インセンティブを与える方法(環境税・炭素税、補助金、排出権取引制度)、(3)自発的行動を期待する方法(自主的取組み)の3つに大別できる。国内外の環境政策は、伝統的には(1)を基本としてきたが、近年の世界の潮流は急速に(2)や(3)の考え方に転換しつつある。本研究は、気候変動抑制経済政策についてその政策手段の理論的基礎固め、体系化を行うことを目指すものである。こうした目的のもとで、18年度は上記(2)に関わる理論分析、および、実証分析、さらには、(3)に関わる理論分析を行った。具体的には、次のようなものである。 まず、(2)の理論については、排出権取引制度における、安全弁(セーフティーバルブ)と排出ターゲットの最適な組合せについて分析した。規制当局が排出削減量をコントロールするに際して、この二つは、共に重要な役割を果たす。しかし、その重要性は、将来の排出量予測に起因する市場不確実性に大きく左右されることが示された。次に、実証については、京都議定書に定められたCDM(クリーン開発メカニズム)が実際にどれだけ経済的に有効であるのか分析した。国連IPCC事務局の公表するデータを用いて、その経済性を統計分析し、プロジェクトごとの差異が大きいことが示された。(3)に関わる理論については、公共目的の資金調達方式として、宝くじのメカニズムに着目し、モデル分析を行った。これまで多くの経済理論で見過ごされてきた宝くじの第3の属性とそれに基づく最適設計について理論構築を行った。以上の成果を、和文査読雑誌論文2件、国際学会5件(内論文4件、口頭発表のみ1件)、国内学会1件として発表した。
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