2006 Fiscal Year Annual Research Report
経済統合、少子化及び外国人労働が世代間利害に及ぼす影響と対策に関する研究
Project/Area Number |
17330059
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
井口 泰 関西学院大学, 経済学部, 教授 (90278771)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤野 敦子 京都産業大学, 経済学部, 専任講師 (50387990)
西村 智 関西学院大学, 経済学部, 助教授 (10351727)
|
Keywords | 晩婚化 / 少子化 / 経済統合 / 労働市場 / 外国人労働 / (外国人の)社会的統合 / 世代間利害 / 人材還流 |
Research Abstract |
本研究は、日本における少子化又は人口減少の引き起こすマイナスの経済効果が、東アジア地域における経済統合によって、どこまで克服可能であるのか、その際に、企業、家計、学校、地域社会などが、少子化対策及び外国人政策を如何に組み合わせることによって、世代間利害の対立を最小化できるかを主要テーマとしている。 このため、平成18年度は、年度前半には、東南アジア諸国で経済統合と人材開発や移動の関連について実地調査に着手し、後半には、欧州<フランス>で少子化と経済連携を議論する初のワークショップを開催するなど、以下の5つの重点に従って研究活動を実施した。 第1に、日本との経済連携の動きが進んでいる東南アジアでの調査を優先し、当初18年度に予定した中国調査を、当初19年度に予定した東南アジア調査と入れ替え、シンガポール大学の東南アジア研究センターでセミナーを実施するとともに、シンガポールとタイで、経済連携と人材開発、人の移動及び人材還流並びに日系企業の技術移転に関する実地調査を実施した。 第2に、労働力構成の高齢化と若年層の減少が、地域ごとの業種・職種別の労働需要にいかなる影響を与え、外国人労働者へのニーズに如何なる変化を与えるかに関する分析を行うために、昨年度から入力し蓄積した地域別データをベースに新たに購入したソフトを使用し、外国人労働者の在留資格や国籍等に基づき多数のマッピングを行った。また、そこから得られた基礎的な認識をもとに、地域の外国人労働者や研修生、技能実習生などに関する大規模の多変量解析を実施し、その分析成果を2007年春以降、論文や講演などを通じ専門家及び一般向けに情報発信した。 第3に、「世代間利害調整」の概念に「人材還流」の考え方をとりいれ、国立社会保障人口問題研究所の新人口推計の労働供給推計への影響を考慮しつつ、新たな国際協力の概念を構築する検討作業を進め、その中途の成果の一部は既に研究論文に掲載した。 第4に、前年度から準備を進めてきたフランス・リール第一大学との連携に基づき、2007年3月8日及び9日に、フランス・リール第一大学において、双方から4名ずつの研究者が出席して、「少子化と経済統合に関する日仏合同ワークショップ」を開催した。その成果の一部は早期に論文などとして、専門雑誌などに公開する予定である。 第5に、次年度におけるドイツ・エアランゲン・ニュルンベルク大学との連携に基づく「経済統合・人口減少下における産業再編成と人材移動に関する日独セミナー<仮称>」に関し事前準備を進め、2008年2月6日及び7日の開催を目指して情報交換と共同研究を進めている。
|